症例2

血清蛋白電気泳動像と免疫固定電気泳動像を示す。以下の問いに答えよ。
  • 1)推定される病態を答えよ
  • 2)その理由を説明せよ
  • 3)赤矢印()のバンドの中央が染まっていない理由について説明せよ

解説:

01_2

1)推定される病態を答えよ
 BJP型多発性骨髄腫

2)その理由を説明せよ
 蛋白電気泳動像にてα2~β分画でMバンドが認められる。免疫固定電気泳動像より抗λ鎖血清で沈降物の形成を認めるが、対応するH鎖の抗血清(抗IgG、抗IgA、抗IgM血清)にはまったく沈降物が形成されていないことから、異常蛋白はλ型BJPと考えられる(抗IgD、抗IgE血清でも沈降物が形成されていないことを確認する必要がある)。BJPが出現した場合、悪性の可能性が高い。

3)赤矢印()のバンドの中央が染まっていない理由について説明せよ
 免疫固定電気泳動は抗体過剰を原理として沈降物を形成させている。そのため、目的抗原蛋白の濃度が高すぎると抗体過剰にならないので本例のような中抜け現象を起こしてしまう。すなわち、抗原過剰に起因した現象である。