判読
(1) | スポット電気泳動パターンと免疫電気泳動パターンを対比し、量的・質的異常を確認する。 |
(2) | 沈降線の増減は,沈降線の囲む面積,沈降線の太さおよび濃さ,沈降線の長短,など総合的に観察し判定する。 |
(3) | M蛋白の同定法
M蛋白は,免疫電気泳動検査で正常の免疫グロブリンの沈降線とは異なる形態 (M-bow) を呈するか,全く新しい沈降線として観察される。
1)H鎖の同定 |
抗ヒト全血清により,易動度および沈降線の形態などからM蛋白のクラスを推測し得たならば,それに対する特異抗血清を用い同定する。すなわち,抗IgG(γ鎖),抗IgA(α鎖),抗IgM(μ鎖),抗IgD(δ鎖),抗IgE(ε鎖)のいずれかである。もし,M蛋白がこれら抗H鎖血清のいずれとも反応しない場合は,BJPがもっとも疑われるので抗L鎖血清により確認する。 |
2)L鎖の同定 |
免疫グロブリンのL鎖に対する特異抗血清として抗κ鎖および抗λ鎖血清の2種類があるので,これらの抗血清を用いM蛋白のL鎖のタイプを同定する。抗L鎖血清はM蛋白の同定には不可欠であり,H鎖病にみられるH鎖蛋白の同定においては,抗L鎖血清に反応しないことを必ず確認する。 |
3)悪性の基準 |
M蛋白の著増、M蛋白以外の他の免疫グロブリン量の著減、Bence Jones 蛋白(BJP)の存在、比較的短期間のM蛋白の急激な増加などがあげられている。 |
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指標となる5種類の沈降線
正常ヒト血清の泳動パターンで容易に判別できる特徴ある沈降線は5つある。それらは血中に比較的多量に含まれ,各蛋白分画の領域における主成分で沈降線を判読する際に役立つ