日本国憲法の成立 | |
概要 |
明治憲法(大日本帝国憲法)は、一定の権利や自由を保障する規定を設けていたものの(第2章)、それは、天皇の臣下としての臣民の権利として、法律により容易に制限できるものにすぎず、また、権力分立制も採用していたものの(5条、55条、57条)、議会・各国務大臣・裁判所は、統治権の総攬者である天皇(4条)の大権を翼賛する機関にすぎなかった(しかも、統帥権(11条)が独立し、内閣や議会はこれに関与することはできなかった)。 1945(昭和20)年8月14日、わが国は、ポツダム宣言を受諾し、民主的な国家の形成が求められるようになった。10月11日、連合国軍総司令部を訪問した幣原喜重郎内閣総理大臣は、最高司令官マッカーサーから、明治憲法を自由主義化する必要があるとの示唆を受け、25日、松本烝治国務大臣を長とする憲法問題調査委員会を発足させた。 松本案は、1946年2月8日に総司令部に提出されることになるが、それに先立つ2月1日に、毎日新聞によりスクープされた。その後、マッカーサーは、天皇の地位、戦争の放棄、封建制度の廃止などに関するマッカーサー・ノートを示し、それに基づき、総司令部で憲法改正案を作成することにした。マッカーサー草案は、13日の会談で日本側に提示され、それに基づき、政府は、4月17日、憲法改正案を作成した。 憲法改正案は、明治憲法73条の手続に従い、6月20日に帝国議会に提出され、衆議院・貴族院でそれぞれ修正議決され、枢密院での審議を経て、11月3日に公布された。そして、1947年5月3日に、施行された。 |
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対象/前提 | 初めて日本国憲法の解釈論を学ぶ全学部の1年生を対象にします。入門的な講義ですので、受講にあたっての前提要件はありません。日本国憲法の解釈論についての専門的な講義ではありません。 |
キーワード | 日本国憲法,憲法史,明治憲法,大日本帝国憲法 |
作成者 | 信州大学 全学教育機構 柳瀬昇 |
協力者 | |
親教材 | 日本国憲法の生成と展開 |
更新日 | 2009年1月7日 |
注意事項 | |
本教材は、平成18年度『現代的教育ニーズ取組支援プログラム』「教育の質保証プロジェクト」の支援により開発されたものです。 |
学習の留意点 |
初めて日本国憲法の解釈論を学ぶ全学部の1年生を対象とする入門的な講義です。日本国憲法の解釈論についての専門的な講義ではありません。日本国憲法の解釈論の基礎を約30時間程度で学ぶためのコースですので、解釈論上の重要論点について深く立ち入ることはできません。 日本国憲法その他法令を引用することが多いので、できるだけ新しい六法(法令集)を手もとに置き、必要に応じて、参照してください。 |
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教材群 |