地方自治

概要  地方自治とは、地方における政治と行政を、地域住民の意思に基づいて、国から独立した地方公共団体が、その権限と責任において自主的に処理することをいう。
 地方公共団体の組織や運営に関する事項は、法律により定められる(92条)。地方公共団体の長や議会の議員は、住民の選挙により選出される(93条2項)。
 92条にいう「地方自治の本旨」とは、地方自治が、国から独立した団体に委ねられ、団体自らの意思と責任のもとでなされるという自由主義的要素と、住民の意思に基づいて行われるという民主主義的要素という2つの要素からなる。
 地方公共団体の議会は、法令の範囲内で条例(地方公共団体がその自治権に基づいて制定する自主法)を制定することができる(94条)。
 憲法上、財産権の内容(29条2項)、刑罰(31条)、租税(84条)の3つは、法律で定めなければならないと規定されているが、条例によって定めることもできると解される。
 住民の意思をより的確に地方政治に反映させるため、地域社会における重要な政策争点をめぐって、地方公共団体が独自に条例を制定して実施する住民投票の有用性が主張されることがある。1990年代後半に、原子力発電所、軍用基地、産業廃棄物処理施設などの設置・維持をめぐって行われたことがあるが、近年では、市町村合併をめぐって、住民投票が頻繁に行われるようになっている(最近の例としては、山口県旧岩国市の在日米軍空母艦載機移転受入れの是非に関する住民投票(2006年3月)がある)。
対象/前提  初めて日本国憲法の解釈論を学ぶ全学部の1年生を対象にします。入門的な講義ですので、受講にあたっての前提要件はありません。日本国憲法の解釈論についての専門的な講義ではありません。
キーワード 日本国憲法,地方自治,地方公共団体,住民自治,団体自治,条例,住民投票
作成者 信州大学 全学教育機構 柳瀬昇
協力者
親教材財政・地方から見る民主主義
更新日2009年1月7日
注意事項
本教材は、平成18年度『現代的教育ニーズ取組支援プログラム』「教育の質保証プロジェクト」の支援により開発されたものです。
学習の留意点  初めて日本国憲法の解釈論を学ぶ全学部の1年生を対象とする入門的な講義です。日本国憲法の解釈論についての専門的な講義ではありません。日本国憲法の解釈論の基礎を約30時間程度で学ぶためのコースですので、解釈論上の重要論点について深く立ち入ることはできません。
 日本国憲法その他法令を引用することが多いので、できるだけ新しい六法(法令集)を手もとに置き、必要に応じて、参照してください。
教材群
  1. main地方自治
  2. test理解度確認小テスト