国会の権能・議院の権能、国会の組織

概要 (国会の権能・議院の権能)
 国会の権能には、法律の議決権(59条)、条約締結の承認権(61条)、弾劾裁判所の設置権(64条)、内閣総理大臣の指名権(67条)、財政監督権(83条)、憲法改正の発議権(96条)がある。一方、議院の権能には、会期前に逮捕された議員の釈放要求権(50条)、議員の資格争訟の裁判権(55条)、役員選任権(58条1項)などの内部組織に関する自律権(各議院が他の国家機関に干渉されずに自主的に決定できる権能)や、議院規則制定権(58条2項)、議員懲罰権(同条)、などの運営に関する自律権のほかに、国政調査権(62条)がある。
 国政調査権の性格については、独立の権能であるのか(独立権能説)、憲法上、国会・議院に与えられた権能を行使するために認められた補助的権能なのか(補助的権能説)という争いがあるが、国会の性格に関し政治的美称説を採る見解からは後者が正当と解される。したがって、国政調査権には一定の範囲と限界がある。すなわち、国政調査の目的は、国会・議院の憲法上の権能を実効的に行使するためのものでなければならないし、司法権の独立や基本的人権を侵害するような方法をとることは許されない。
(国会の組織)
 国会は衆議院と参議院とによって構成され(42条)、原則として両院の議決の一致により国会の権能が行使される。
 法律の制定(59条)、予算の議決(60条2項)、条約締結の承認(61条)、内閣総理大臣の指名(67条2項)に関して、衆議院に議決上の優越が認められる。予算の審議は衆議院が先議であり(60条1項)、内閣不信任決議権(69条)は衆議院にしか認められない。
対象/前提  初めて日本国憲法の解釈論を学ぶ全学部の1年生を対象にします。入門的な講義ですので、受講にあたっての前提要件はありません。日本国憲法の解釈論についての専門的な講義ではありません。
キーワード 日本国憲法,国会,議院,立法権,二院制,両院制,法律,予算,条約,内閣総理大臣,衆議院,参議院,優越
作成者 信州大学 全学教育機構 柳瀬昇
協力者
親教材国会と立法権
更新日2009年1月7日
注意事項
本教材は、平成18年度『現代的教育ニーズ取組支援プログラム』「教育の質保証プロジェクト」の支援により開発されたものです。
学習の留意点  初めて日本国憲法の解釈論を学ぶ全学部の1年生を対象とする入門的な講義です。日本国憲法の解釈論についての専門的な講義ではありません。日本国憲法の解釈論の基礎を約30時間程度で学ぶためのコースですので、解釈論上の重要論点について深く立ち入ることはできません。
 日本国憲法その他法令を引用することが多いので、できるだけ新しい六法(法令集)を手もとに置き、必要に応じて、参照してください。
教材群
  1. main国会の権能・議院の権能、国会の組織
  2. test理解度確認小テスト