議員定数不均衡違憲判決 | |
概要 |
現行の公職選挙法上、1人1票の原則は保障されているが、各選挙区の議員定数の配分に不均衡があり、有権者数との比率において、各選挙人の投票価値に不平等が生じている。 1972(昭和47)年12月10日に行われた衆議院議員選挙の千葉県第1区の選挙に関して、同選挙区の選挙人Xは、公職選挙法204条に基づき、同選挙を無効とする判決を求めて提訴した。その無効理由として、選挙当時の公職選挙法別表第1、同法附則7項ないし9項の規定による各選挙区間の議員1人当たりの有権者分布表比率は最大4.99対1に及んでおり、これは、一部の選挙区の国民を不平等に扱ったものであり、日本国憲法14条1項に反すると主張した。第1審(東京高判昭和49年4月30日行集25巻4号35頁)は、議員定数の不平等が容認できない段階ではないとして棄却したので、Xは上告した。 最高裁判所は、(1)投票価値の不平等が、国会において通常考慮しうる諸般の要素を斟酌してもなお、一般的に合理性を有するとは到底考えられない程度に達しているときで、かつ、(2)人口の変動の状態を考慮して合理的期間内における是正が憲法上要求されていると考えられるのに、それが行われない場合には違憲となるという基準を示したうえで、当該選挙は、選挙の平等の要求に違反し、配分規定は全体として違憲の瑕疵を帯びると判示しながらも、選挙の効力については、選挙を全体として無効にすることによって生じる不当な結果を回避するために、行政事件訴訟法31条に定める事情判決の法理を援用し、選挙を無効とせず違法の宣言にとどめる判決を行った。 |
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対象/前提 | 初めて日本国憲法の解釈論を学ぶ全学部の1年生を対象にします。入門的な講義ですので、受講にあたっての前提要件はありません。日本国憲法の解釈論についての専門的な講義ではありません。 |
キーワード | 日本国憲法,参政権,平等選挙の原則,議員定数不均衡,一票の較差 |
作成者 | 信州大学 全学教育機構 柳瀬昇 |
協力者 | |
親教材 | 国家への自由 |
更新日 | 2009年1月7日 |
注意事項 | |
本教材は、平成18年度『現代的教育ニーズ取組支援プログラム』「教育の質保証プロジェクト」の支援により開発されたものです。 |
学習の留意点 |
初めて日本国憲法の解釈論を学ぶ全学部の1年生を対象とする入門的な講義です。日本国憲法の解釈論についての専門的な講義ではありません。日本国憲法の解釈論の基礎を約30時間程度で学ぶためのコースですので、解釈論上の重要論点について深く立ち入ることはできません。 日本国憲法その他法令を引用することが多いので、できるだけ新しい六法(法令集)を手もとに置き、必要に応じて、参照してください。 |
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教材群 |