裁判員制度の合憲性 | |
概要 |
わが国では、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律に基づき、2009(平成21)年5月から、一般の国民が、一定の重大な犯罪についての刑事裁判に、裁判員として、裁判官とともに、有罪・無罪の決定や刑の量定を行うという制度が導入された。 裁判員制度は、司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上のために導入されるものであって、国民主権の原理ないし民主主義の原理に基づき導入されたものではない。 裁判員制度については、(1)日本国憲法32条及び37条1項に定める裁判を受ける権利を侵害するか、(2)国民の司法参加の制度について憲法に一切規定が存在しないことは参加制度を設けることを禁止する趣旨であるか、(3)裁判官以外の国民が裁判の評議・評決に実質的に関与することが76条3項に定める裁判官職権行使の独立の原則に違反するか、(4)被告人の裁判の選択権(裁判員の参加する裁判の辞退権)を認めないことが憲法の趣旨や規定に違反するか、そして、(5)一般の国民に対して裁判員候補者として出頭し、裁判員等として就任し職務を遂行する義務を課すことが13条等に定める諸権利を侵害し、かつ、18条後段が禁止する意に反する苦役に該当するかが、憲法上の論点として挙げられる。 |
---|---|
対象/前提 | 初めて日本国憲法の解釈論を学ぶ全学部の1年生を対象にします。入門的な講義ですので、受講にあたっての前提要件はありません。日本国憲法の解釈論についての専門的な講義ではありません。 |
キーワード | 日本国憲法,裁判員制度,裁判を受ける権利,裁判官職権行使の独立 |
作成者 | 信州大学 全学教育機構 柳瀬昇 |
協力者 | |
親教材 | 身体の自由 |
更新日 | 2009年1月7日 |
注意事項 | |
本教材は、平成18年度『現代的教育ニーズ取組支援プログラム』「教育の質保証プロジェクト」の支援により開発されたものです。 |
学習の留意点 |
初めて日本国憲法の解釈論を学ぶ全学部の1年生を対象とする入門的な講義です。日本国憲法の解釈論についての専門的な講義ではありません。日本国憲法の解釈論の基礎を約30時間程度で学ぶためのコースですので、解釈論上の重要論点について深く立ち入ることはできません。 日本国憲法その他法令を引用することが多いので、できるだけ新しい六法(法令集)を手もとに置き、必要に応じて、参照してください。 |
---|---|
教材群 |