法定適正手続の保障 | |
概要 |
31条の文言は、刑事手続を法律で定めることを要求するのみであるが、その意義は、その法定手続が適正であり、手続だけでなく実体も法律で定め、かつ、適正でなければならないことを含意する。 31条の文言は、刑事手続における保障を要求するのみであるが、法定適正手続は、行政手続においても保障されると解される(例えば、税務調査のための事業所等への立入り、少年法による保護処分、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律による強制入院など)。 最高裁判所も、成田新法事件判決で、行政手続が刑事手続でないとの理由のみで、当然に31条の保障の枠外にあると判断すべきではないと判示している(最大判平成4年7月1日民集46巻5号437頁)。もっとも、行政手続は刑事手続とは性質が異なり、多種多様なものがあるため、事前に告知・弁解・防御の機会を与えるか否かは、行政処分により制限を受ける権利・利益の内容・性質、制限の程度、行政処分によって達成しようとする公益の内容・程度・緊急性等を総合衡量して決定され、常に必ずそのような機会を与えることを必要とするものではないとするのが、判例の立場である。 |
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対象/前提 | 初めて日本国憲法の解釈論を学ぶ全学部の1年生を対象にします。入門的な講義ですので、受講にあたっての前提要件はありません。日本国憲法の解釈論についての専門的な講義ではありません。 |
キーワード | 日本国憲法,法定適正手続の保障 |
作成者 | 信州大学 全学教育機構 柳瀬昇 |
協力者 | |
親教材 | 身体の自由 |
更新日 | 2009年1月7日 |
注意事項 | |
本教材は、平成18年度『現代的教育ニーズ取組支援プログラム』「教育の質保証プロジェクト」の支援により開発されたものです。 |
学習の留意点 |
初めて日本国憲法の解釈論を学ぶ全学部の1年生を対象とする入門的な講義です。日本国憲法の解釈論についての専門的な講義ではありません。日本国憲法の解釈論の基礎を約30時間程度で学ぶためのコースですので、解釈論上の重要論点について深く立ち入ることはできません。 日本国憲法その他法令を引用することが多いので、できるだけ新しい六法(法令集)を手もとに置き、必要に応じて、参照してください。 |
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教材群 |