財産権の保障 | |
概要 |
29条1項は、個人が現に有する具体的な財産上の権利と、個人が財産権を享有できる法制度とを保障する。 29条2項は、1項で保障された財産権の内容が、法律によって一般的に制約されるものであることを明らかにしている。 29条3項は、公共のために個人の私有財産を国家が制約できること、そして、その際には正当な補償が必要であることを規定する。 補償が必要な場合とは、国家が特定個人に特別の犠牲を加えた場合である。すなわち、侵害行為が特定の者を対象とするものであるか否かと、侵害の程度が受忍限度を超えるものであるかを総合的に判断する。 正当な補償とは、原則として、制約された財産の客観的な市場価格の全額を補償することをいう(最判昭和48年10月18日民集27巻9号1210 頁)。ただし、判例は、戦後の農地改革のように社会の著しい変化が生じた場合などには、例外的に、当該財産について合理的に算出された相当な額であれば足りるとしたこともある(農地改革事件判決(最大判昭和28年12月23日民集7巻13号1523頁))。 |
---|---|
対象/前提 | 初めて日本国憲法の解釈論を学ぶ全学部の1年生を対象にします。入門的な講義ですので、受講にあたっての前提要件はありません。日本国憲法の解釈論についての専門的な講義ではありません。 |
キーワード | 日本国憲法,財産権,私有財産制度,公用収用,補償 |
作成者 | 信州大学 全学教育機構 柳瀬昇 |
協力者 | |
親教材 | 財産の自由 |
更新日 | 2009年1月7日 |
注意事項 | |
本教材は、平成18年度『現代的教育ニーズ取組支援プログラム』「教育の質保証プロジェクト」の支援により開発されたものです。 |
学習の留意点 |
初めて日本国憲法の解釈論を学ぶ全学部の1年生を対象とする入門的な講義です。日本国憲法の解釈論についての専門的な講義ではありません。日本国憲法の解釈論の基礎を約30時間程度で学ぶためのコースですので、解釈論上の重要論点について深く立ち入ることはできません。 日本国憲法その他法令を引用することが多いので、できるだけ新しい六法(法令集)を手もとに置き、必要に応じて、参照してください。 |
---|---|
教材群 |