幸福追求権の意義 | |
概要 |
13条は、かつては、第3章に列挙された具体的な個別の人権の総称ないしは人権規定の一般原理と解されていたが、現在では、幸福追求権として、また、プライバシーの権利や環境権などといった憲法の条文にはないが憲法上保障すべき人権の根拠規定として、裁判上の救済を受けることができる具体的権利であると解されている。 幸福追求権の内容については、あらゆる生活領域における行為の自由と解すべきか、個人の人格的生存に不可欠な利益を内容とする権利の総体のみをいうと解すべきか、学説上の争いがある。 個別の人権条項との関係については、個別的規定と競合して保障すると解すべきか、個別の人権が妥当しない場合に限り13条が適用されると解すべきか、学説上の争いがある。 13条を根拠にさまざまな主張がなされているが、判例が新しい人権として明示的に認めたのは、プライバシーの権利としての肖像権のみである(なお、最高裁判所は、「肖像権と称するかどうかは別として」という留保を付けたうえで認めているにすぎない(京都府学連事件最高裁判決(最大判昭和44年12月24日刑集23巻12号1625頁))。 |
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対象/前提 | 初めて日本国憲法の解釈論を学ぶ全学部の1年生を対象にします。入門的な講義ですので、受講にあたっての前提要件はありません。日本国憲法の解釈論についての専門的な講義ではありません。 |
キーワード | 日本国憲法,幸福追求権,人格的自律権,新しい人権,プライバシーの権利 |
作成者 | 信州大学 全学教育機構 柳瀬昇 |
協力者 | |
親教材 | 幸福追求権 |
更新日 | 2009年1月7日 |
注意事項 | |
本教材は、平成18年度『現代的教育ニーズ取組支援プログラム』「教育の質保証プロジェクト」の支援により開発されたものです。 |
学習の留意点 |
初めて日本国憲法の解釈論を学ぶ全学部の1年生を対象とする入門的な講義です。日本国憲法の解釈論についての専門的な講義ではありません。日本国憲法の解釈論の基礎を約30時間程度で学ぶためのコースですので、解釈論上の重要論点について深く立ち入ることはできません。 日本国憲法その他法令を引用することが多いので、できるだけ新しい六法(法令集)を手もとに置き、必要に応じて、参照してください。 |
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教材群 |