憲法の私人間効力 | |
概要 |
憲法は、本来、国家権力と私人との関係を規制することによって国民の権利・自由を保護するための法規範であり、私人と私人との関係を規制する規範ではないが、今日、社会状況が変化し、従来のように人権保障の名宛人として国家のみを想定していたのでは不十分であり、私人相互の関係においても、憲法の人権規定を適用させるべきではないかということが議論されるに至った。 憲法の人権規定を私人相互間に適用させる方法としては、(1)私人相互間での適用が明文で規定されているものを除き適用させるべきでないという見解、(2)全面的に直接適用させるべきだという見解、(3)民法90条などの私法の一般条項を通じて、間接的に適用させるべきだという見解などが主張されている。しかし、(2)によれば、私人間の法律関係は私人間の自由な合意や契約で定めるという私的自治の原則を否定してしまうことになるので、判例は(3)の立場を採っている(三菱樹脂事件最高裁判決(最大判昭和48年12月12日民集27巻11号1536頁))。 |
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対象/前提 | 初めて日本国憲法の解釈論を学ぶ全学部の1年生を対象にします。入門的な講義ですので、受講にあたっての前提要件はありません。日本国憲法の解釈論についての専門的な講義ではありません。 |
キーワード | 日本国憲法,私人間効力,第三者適用 |
作成者 | 信州大学 全学教育機構 柳瀬昇 |
協力者 | |
親教材 | 憲法と人権の限界(2) |
更新日 | 2009年1月7日 |
注意事項 | |
本教材は、平成18年度『現代的教育ニーズ取組支援プログラム』「教育の質保証プロジェクト」の支援により開発されたものです。 |
学習の留意点 |
初めて日本国憲法の解釈論を学ぶ全学部の1年生を対象とする入門的な講義です。日本国憲法の解釈論についての専門的な講義ではありません。日本国憲法の解釈論の基礎を約30時間程度で学ぶためのコースですので、解釈論上の重要論点について深く立ち入ることはできません。 日本国憲法その他法令を引用することが多いので、できるだけ新しい六法(法令集)を手もとに置き、必要に応じて、参照してください。 |
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教材群 |