一般職公務員の人権 | |
概要 |
公務員は、政治活動の自由(国家公務員法102条、地方公務員法36条)や労働基本権(国家公務員法98条2項、地方公務員法37条)に制限がある。 公務員の政治活動の自由に対する制限については、最高裁判所は、(1)行政の中立的運営とこれに対する国民の信頼を確保するという立法目的は正当であり、(2)その目的のために公務員の政治活動を禁止するという手段は、目的との間に合理的関連性があり、(3)禁止によって得られる利益と失われる利益との間に均衡がとれているので、合憲であるとする(猿払事件最高裁判決(最大判昭和49年11月6日刑集28巻9号393頁))。 公務員の労動基本権に対する制限については、最高裁判所は、(1)公務員の勤労条件は国会が制定する法律や予算によって定められるので、政府に対する争議行為は的外れであること、(2)公務員の争議行為には、私企業の場合のような市場の抑制力がないこと、(3)公務員の争議行為は、公務の退廃をもたらし、国民全体の共同利益に重大な影響を及ぼすこと、(4)人事院などのような代償措置があることなどから、合憲であるとする(全農林警職法事件最高裁判決(最大判昭和48年4月25日刑集27巻4号547頁))。 |
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対象/前提 | 初めて日本国憲法の解釈論を学ぶ全学部の1年生を対象にします。入門的な講義ですので、受講にあたっての前提要件はありません。日本国憲法の解釈論についての専門的な講義ではありません。 |
キーワード | 日本国憲法,公務員の人権,政治的活動の自由,労働基本権 |
作成者 | 信州大学 全学教育機構 柳瀬昇 |
協力者 | |
親教材 | 憲法と人権の限界(2) |
更新日 | 2009年1月7日 |
注意事項 | |
本教材は、平成18年度『現代的教育ニーズ取組支援プログラム』「教育の質保証プロジェクト」の支援により開発されたものです。 |
学習の留意点 |
初めて日本国憲法の解釈論を学ぶ全学部の1年生を対象とする入門的な講義です。日本国憲法の解釈論についての専門的な講義ではありません。日本国憲法の解釈論の基礎を約30時間程度で学ぶためのコースですので、解釈論上の重要論点について深く立ち入ることはできません。 日本国憲法その他法令を引用することが多いので、できるだけ新しい六法(法令集)を手もとに置き、必要に応じて、参照してください。 |
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教材群 |