5.感染性微生物

  1. メチシリン耐性黄色ブトウ球菌(MRSA)
    • 標準予防策に加えて接触感染予防策が必要
    • ノンクリティカル器具、頻繁に接触する周辺の物品、環境表面については、通常の洗浄および清掃に加えて消毒
    • 有効な消毒薬:グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、両面性界面活性剤、アルコール類、次亜塩素酸ナトリウム、ポピドンヨード、グルタラールなど
  2. 多剤耐性緑膿菌(MDRP)
    • 標準予防策に加えて接触感染予防策が必要
    • 有効な消毒薬:特に低水準消毒薬には抵抗性を有する場合があることに留意する
  3. 結核菌
    • 標準予防策に加えて空気感染予防策が必要
    • ろ過マスク
    • 著しい汚染が予想される器具や環境の場合は、必要に応じて有効な消毒薬を用いる
    • 消毒薬に対する抵抗性が強い
    • 有効な消毒薬:両面性界面活性剤(0.2~0.5%で有効)、消毒用エタノール等のアルコール類、次亜塩素酸ナトリウム(0.1%以上で有効)、ポピドンヨード、グルタラール
  4. インフルエンザウイルス
    • 標準予防策に加えて飛沫感染予防策を行うが、手指消毒が重要
    • 有効な消毒薬:グルタラール、次亜塩素酸ナトリウム、消毒用エタノール等アルコール類、ポピドンヨードなど
  5. B型肝炎ウイルス(HBV)
    • 針刺し、母子感染、性行為により感染する
    • 標準予防策を遵守し、針刺し事故防止、適切な消毒、ワクチン接種
    • 有効な消毒薬:グルタラール、次亜塩素酸ナトリウム、80%エタノール(11℃、2分)、ポピドンヨードなど
    • ワクチン接種:事前にワクチンを投与(抗体陰性者)→95%以上に有効
    • 感染事故発生後:HBs抗体陰性者は高力価HBs免疫ヒトグロブリンを48時間以内に筋注、感染源がHBe抗原陽性の場合、B型肝炎ワクチン接種を併用する
  6. C型肝炎ウイルス(HCV)
    • 感染経路は輸血、性行為、母子感染
    • HBVに比べて感染力は低いと言われ、針刺しによる感染の危険性は2.7~10%であるが、キャリアが多い為、HBVと同等に標準予防策を遵守する
    • HCVは突然変異を起こすためワクチンはない
    • 有効な予防薬はない
    • 感染した場合、インターフェロン投与
  7. エイズウイルス(HIV)
    • 感染源は血液、体液(精液など)、輸血、母子感染、性行為、麻薬中毒者の注射器乱用による感染が多い
    • 針刺しによる感染率は0.1~0,3%であるが、HBVと同等に標準予防策を遵守する
    • 感染初期とAIDS発症時の曝露での感染率は高い
    • HIV感染者からの感染事故の際は、2時間以内に抗HIV薬を投与