集合論問題集

3 写像

    1. (1) 写像とは何か。その定義を書け。
    2. (2) 写像が等しいとはどういうことか。その定義を書け。
    -
    1. (1) 集合 X, Y に対して、 X の各元に対して Y の元をひとつずつ対応させる規則を X から Y への写像とい う。 ( f X から Y の写像であるとき f : X → Y とかく。)
    2. (2) f : X → Y , g : A → B が等しいとは X = A , Y = B であり、任意の x ∈ X = A に対して f(x) = g(x) であることをいう。 (このとき f = g とかく。)
  1. f : ℝ+ -→ ℝ x ↦-→ アx で定めると、これは写像かどうかを答えよ。ただし ℝ+ = {x > 0|x ∈ ℝ} とする。
    -
    写像ではない。なぜなら、 X の各元に対して Y の元が 2 つ対応しているので定義に反する。
  2. f : ℕ -→ ℕ  2x ↦-→ x で定めると、これは写像かどうかを答えよ。
    -
    写像である。
  3. 写像を具体的に一つ作れ。
    -
    f : ℕ → {0}∪ ℕ f(x) = x- 1 で定めるとこれは写像である。
  4. f : ℕ -→ ℕ x ↦-→ x + 1, g : ℕ -→ ℝ x ↦-→ 2x - 3 で定めたとき、合成写像 g∘f を求めよ。
    -
    合成写像の定義から、 (g∘f )(x) = g(f(x)) = g(x+ 1) = 2(x + 1)- 3 = 2x - 1 である。つまり、合成写像は、 g∘ f : ℕ → ℝ (x ↦→ 2x- 1) である。
    1. (1) 写像 f : X → Y に対して、像 f(X ) の定義を書け。
    2. (2) 写像 f : X → Y A ⊂ Y に対して、 A の逆像  - 1f (A ) の定義を書け。
    3. (3) f : ℕ -→ ℕ x ↦-→ 2x で定めたとき ℕ に対する像 f(ℕ ) A = {2,3,4} ⊂ ℕ の逆像 f-1(A) を具体 的に書け。
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    1. (1) f(X ) = {f(x) ∈ Y | x ∈ X}
    2. (2)  - 1f (A ) = {x ∈ X | f(x) ∈ A}
    3. (3) f(ℕ) = {2x | x ∈ ℕ} , f-1(A) = {x ∈ ℕ | 2x ∈ {2,3,4}} = {1,2}
  5. f : X → Y を写像とする。  -1f という記号は異なる意味で用いられることがある。これについて説明せよ。
    -
    写像 f : X → Y に対して  - 1f は次の意味で用いられる。
    1. (1)写像の逆像
      y ∈ Y に対して
      f- 1(y) = {x ∈ X | f(x) = y}
      である。また B ⊂ Y に対して
       - 1 ⋃ -1f (B ) = {x ∈ X | f(x ) ∈ B} = f (b) b∈B
      である。 f- 1(y) , f- 1(B ) ともに X の部分集合である。
    2. (2)逆写像
      f が全単射のときに限り、 f-1 f の逆写像を表す。すなわち y ∈ Y に対して f(x) = y となる x ∈ X が唯一つ存在し、 f-1(y) = x である。 f- 1(y) X の元である。
    f が全単射であっても (1) の意味で用いることもできる。このとき f-1(y) は (1) の意味ならば X の (唯一つの 要素をもつ) 部分集合、 (2) の意味ならば X の一つの元である。この記号だけではどちらであるかの判別は不可能であ り、説明がない場合には前後の文脈から理解することとなる。 B ⊂ Y に対する f-1(B ) はどちらで理解しても同じ ものになる。
    1. (1) 全射、単射の定義を書け。
    2. (2) 写像 f : X → Y に対して f (X ) = Y ⇐ ⇒ ∀y ∈ Y ,   ∃x ∈ X   s.t.   y = f(x) 」 (任意の Y の元 y に 対して f(x) = y となるような X の元 x が存在する)を示せ。
    3. (3) 全射 f : ℕ → {0} ∪ℕ を構成せよ。また、それが全射であることを示せ。
    4. (4) 恒等写像以外の単射 f : ℕ → ℕ を構成せよ。また、それが単射であることを示せ。
    -
    1. (1) f : X → Y を写像とする。
      • f が単射であることの定義
        X の元 x, y に対して、 x ⁄= y ⇒ f(x) ⁄= f(y) が成り立つとき f は単射であるという。 (任意の X の元 x, y に対して、 f(x) = f(y) ⇒ x = y が成り立つときとしてもよい。)
      • f が全射であることの定義
        f(X) = Y が成り立つとき f が全射であるという。(任意の Y の元 y に対して f (x) = y となるよう な X の元 x が存在するときとしてもよい。)
    2. (2)
      • f(X) = Y であるから f(X ) ⊃ Y である。すなわち、任意の Y の元 y に対して f(x) = y となるよ うな X の元 x が存在する。
      • 写像の定義から f(X ) ⊂ Y で、仮定より、 f(X ) ⊃ Y である。よって f(X) = Y である。
    3. (3) 問題 4 の写像が全射となっている。
      なぜなら、 {0} ∪ℕ の任意の元 x に対して x = (x+ 1)- 1 = f(x + 1) となって、 x+ 1 ℕ の元である。した がって f は全射である。
    4. (4) f : ℕ → ℕ x ↦→ 3x と定めると単射である。
      なぜなら、任意の ℕ の元 x , y に対して、 f(x ) = f(y) とすると、 3x = 3y だから、 x = y となる。よって  f は 単射である。
    ここで、書いたものは例であり、問題の条件を満たす写像は多数存在する。
    1. (1) f : ℝ → ℝ f(x) = x + 1 で定めるとき、 f は単射であることを示せ。
    2. (2) f : ℝ → ℝ f(x) = 2x で定めるとき、 f は全射であることを示せ。
    3. (3) f : ℤ → ℤ f(x) = 2x で定めるとき、 f は単射であるが全射でないことを示せ。
    -
    1. (1) f(x) = f (y) とする。このとき x+ 1 = y + 1 なので x = y である。
    2. (2) r ∈ ℝ とする。 r∕2 ∈ ℝ であり f (r∕2) = r である。
    3. (3) f(x) = f (y) とする。 2x = 2y なので x = y であり、よって f は単射である。 1 ∈ ℤ に対して 1 = f(x) = 2x となる x ∈ ℤ は存在しないので f は全射ではない。
    1. (1) 全単射の定義を書け。
    2. (2) 閉区間 [a,b] から閉区間 [c,d] への全単射を具体的に構成せよ。ただし、ここで a < b , c < d であるとする。
    3. (3) ℤ から ℕ への全単射を具体的に構成せよ。(ちょっと難かしい。)
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    1. (1) 写像 f が全単射であるとは、 f が全射かつ単射であることである。 (任意の y ∈ Y に対して f(x) = y とな る x ∈ X がただひとつ定まるとしてもよい。)
    2. (2)  d- cf(x) = ----(x- a)+ c b- a と定めると全単射である。 (点 (a, c) を通る傾き d- c-----b- a の直線である。)
    3. (3) f : ℤ → ℕ
       (| 2x if x > 0f(x) = { |( 1 if x = 0 - 2x +1 if x < 0
      で定めるとこれは全単射である。
    1. (1) ℕ から ℕ への単射ではあるが全射ではない 写像を具体的に一つ構成せよ。
    2. (2) ℕ から ℕ への全射ではあるが単射ではない写像を具体的に一つ構成せよ。
    3. (3) ℝ から ℝ への単射ではあるが全射ではない写像を具体的に一つ構成せよ。
    4. (4) ℝ から ℝ への全射ではあるが単射ではない写像を具体的に一つ構成せよ。
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    1. (1) f(n) = n+ 1 (n ∈ ℕ)
    2. (2) { f(1) = 1 f(n) = n - 1 (n ∈ ℕ,n ≥ 2)
    3. (3) f(x) = ex (x ∈ ℝ )
    4. (4)  3f(x) = x - x (x ∈ ℝ)
    条件を満たす写像は他にもたくさんある。
  6. 写像 f : X - → Y について以下の問に答えよ。
    1. (1) f が全射のとき、 Y ⊃ B に対して、 f(f -1(B )) = B であることを示せ。
    2. (2) 一般には f(f-1(B)) = B は正しくない。この式が成り立たないような例をあげよ。
    3. (3) f が単射のとき、 X ⊃ A に対して、  -1f (f(A )) = A であることを示せ。
    4. (4) 一般には f-1(f(A)) = A は正しくない。この式が成り立たないような例をあげよ。
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    1. (1)
      • )  -1x ∈ f(f (B )) とする。ある  -1y ∈ f (B ) が存在して、 x = f(y) となる。ここで、  -1y ∈ f (B ) より、 f(y) ∈ B となって(逆像の定義) x = f (y) ∈ B である。
      • ) x ∈ B とする。 f は全射なので、ある y ∈ X が存在して、 f(y) = x となる。ここで f(y) = x ∈ B なので  -1y ∈ f (B) である。したがって  -1x = f(y) ∈ f(f (B)) である。
      以上から、 f(f- 1(B )) = B となる。
    2. (2) X = Y = ℤ とし f : ℕ → ℕ を定値写像 f (a) = 0 ( ∀a ∈ ℤ ) とする。このとき B = {1} とすれば f- 1(B ) = ϕ で あり f(f- 1(B )) = ϕ ⁄= B である。
    3. (3)
      • ) x ∈ f- 1(f(A)) とする。 f (x) ∈ f (A ) となって、像の定義より、ある y ∈ A が存在して f(x) = f (y) となる。 f は単射なので x = y ∈ A である。
      • ) x ∈ A とする。 f(x) ∈ f(A) で、逆像の定義より、 x ∈ f-1(f (A )) である。
      以上から、  - 1f (f(A )) = A となる。
    4. (4) X = Y = ℤ とし f : ℕ → ℕ を定値写像 f (a) = 0 ( ∀a ∈ ℤ ) とする。このとき A = {1} とすれば f(A ) = {0} で あり f- 1(f(A )) = ℤ ⁄= A である。
  7. f : A → B を写像とし X ⊂ A ,Y ⊂ A とする。
    1. (1) f(X ∪ Y) = f(X) ∪f(Y ) を示せ。
    2. (2) f(X ∩ Y) ⊂ f(X) ∩f(Y ) を示せ。また f(X ∩ Y) = f(X) ∩f(Y ) は成り立つかどうかを考察し、成り立つな らば証明し、成り立たないならば、反例を挙げよ。
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    1. (1)
      • ) b ∈ f(X )∪f (Y ) とする。このとき b ∈ f(X ) または b ∈ f(Y ) である。 b ∈ f(X ) とすると、ある x ∈ X があって b = f(x) である。このとき x ∈ X ⊂ X ∪Y なので b = f(x) ∈ f(X ∪ Y ) である。 b ∈ f(Y) のときもまったく同様にして b ∈ f(X ∪ Y) となる。よって f(X ∪Y ) ⊃ f(X )∪ f(Y ) であ る。
      • ) x ∈ f(X ∪ Y) とする。このとき、ある a ∈ X ∪ Y が存在して f(a) = x である。 a ∈ X ならば x = f (a) ∈ f(X ) であり、 a ∈ Y ならば x = f(a) ∈ f(Y) なので x ∈ f(X )∪ f(Y) である。よって f(X ∪Y ) ⊂ f(X )∪ f(Y) である。
      以上から、 f(X ∪ Y ) = f(X) ∪f(Y ) となる。
    2. (2)
      • b ∈ f(X ∩ Y) と す る。 あ る x ∈ X ∩Y が あっ て b = f(x) である。 x ∈ X より b = f(x) ∈ f(X ) であり、 x ∈ Y より b = f(x) ∈ f(Y ) である。 よって b ∈ f(X) ∩f(Y ) となり f(X ∩ Y) ⊂ f(X)∩ f(Y ) が成り立つ。
      • f(X ∩Y ) = f(X )∩ f(Y) は成り立たない。
        (反例) f : {0, 1} → {a} f(0) = f(1) = a と定め、 X = {0} Y = {1} とすると、 f(X) = {a} , f(Y) = {a} である。よって f(X ∩ Y) = f(ϕ ) = ϕ ⁄= {a} = f(X )∩f (Y ) であるから等号は成立しな い。
  8. f : A → B を写像、 b,b′ ∈ B b ⁄= b′ とする。このとき f-1(b) ∩f- 1(b′) = ϕ であることを示せ。
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    f-1(b) ∩f- 1(b′) ⁄= ϕ と仮定し a ∈ f-1(b)∩ f-1(b′) とする。定義により b = f(a) = b′ であるが、 b ⁄= b′ の仮 定に反する。よって f- 1(b)∩ f-1(b′) = ϕ である。
  9. f : X -→ Y g : Y -→ Z について、 f ,g ともに単射ならば g∘ f も単射であることを示せ。
    -
    x, y ∈ X に対して (g∘ f)(x) = (g ∘f)(y) とする。このとき g(f(x)) = g(f(y)) となって、 g が単射なので、 f(x) = f(y) 。さらに、 f も単射だから x = y 。すなわち、 g ∘f は単射である。
  10. f : X -→ Y g : Y -→ Z について、 f,g ともに全射ならば g ∘f も全射であることを示せ。
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    x ∈ Z とする。 g が全射だから適当な y ∈ Y が存在して、 x = g(y) となる。また f も全射だから、適当な z ∈ X が存在して y = f (z) となる。このとき x = g(y) = g(f(z)) = (g∘f )(z) 。であるから g ∘f は全射である。
  11. f : X -→ Y g : Y -→ Z について、 f が全単射であるとき「 g が単射である」 ⇔ g ∘f も単射である」を示せ。
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    • ) x, y ∈ X に対して、 (g∘f )(x) = (g ∘f)(y) とする。このとき g(f(x)) = g(f (y)) となり、 g f ともに 単射であるから、 x = y となる。。すなわち g ∘f は単射である。
    • ) x, y ∈ Y に対して、 g(x) = g(y) とする。 f は全単射だから、 x = f(a) y = f(b) となる a , b ∈ X 存在する。このとき、 g(f(a)) = g(x) = g(y) = g(f(b)) となる。 g ∘f は単射なので、 a = b である。よっ て x = f(a) = f (b) = y である。以上より g は単射である。
  12. f : X -→ Y g : Y -→ Z について、 g∘ f が全射ならば g は全射であることを示せ。
    -
    • 元をとって考える
    • 像で考える
    の二つの方法で解いてみることにする。
    [解答 1]
    z ∈ Z とする。 g∘f は全射だから、 z = (g ∘f)(x) = g(f(x)) となる x ∈ X が存在する。 f(x) ∈ Y なので g は全射である。
    [解答 2]
    g ∘f は全射なので Z = (g ∘f)(X) = g(f (X )) ⊂ g(Y) ⊂ Z である。よって Z = g(Y) となり g は全 射である。
  13. f : X -→ Y g : Y -→ Z について、 g∘ f が単射ならば f は単射であることを示せ。
    -
    f(x) = f(x′) とする。このとき g∘f (x) = g(f (x)) = g(f(x′)) = g∘f (x′) である。 g∘ f は単射なので x = x ′ となる。
  14. f : X -→ Y について、 f が全単射であるための必要十分条件は、 g : Y -→ X g∘f = idX かつf ∘g = idY なるものが存在することである。これを示せ。ただし idX X の恒等写像を表すものとする。
    -
    f が全単射とすれば、 f は逆写像  - 1f をもつ。  - 1g = f とすれば、これは g∘ f = idX , f ∘ g = idY を満たす。 g : Y -→ X g ∘f = idX かつ f ∘g = idY を満たすものとする。恒等写像は全単射なので f ∘g = idY と問題 18 より f は全射である。また g ∘f = idX と問題 19 より f は単射である。よって f は全単射である。
  15. f : B → C とする。 f* : Map (A, B ) → Map (A, C) f*(ψ) = f ∘ψ で定義する。このとき以下を証明せよ。
    1. (1) f が単射ならば f * は単射である。
    2. (2) f が全射ならば f* は全射である。
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    1. (1) x, y ∈ Map (A, B) に対して、 f*(x ) = f*(y) であるとする。任意の a ∈ A に対して、 (f*(x ))(a) = (f*(y))(a) 、すなわち f(x(a)) = f(y(a)) である。ここで、 f は単射なので、 x(a) = y(a) と なる。 a ∈ A は任意なので x = y となる。したがって f* は単射である。
    2. (2) x ∈ Map(A, C ) とする。 f : B → C は全射なので、各 a ∈ A に対して x (a) = f(ba) なる ba ∈ B が存在する。このとき y : A → B y(a) = ba で定めれば (実はここで選択公理が必要である)、 f*(y)(a) = f(y(a)) = f(ba) = x(a) となり f*(y) = x である。よって f* は全射である。
  16. X, Y を集合、 A, B X の部分集合、 C, D Y の部分集合とする。
    このとき f : X → Y に対して以下が成立することを示せ。
    1. (1) A ⊂ B =⇒ f(A) ⊂ f (B )
    2. (2) f(A - B) ⊃ f(A)- f(B)
    3. (3)  -1 -1C ⊂ D = ⇒ f (C) ⊂ f (D)
    4. (4) f- 1(Y - D ) = X - f-1(D )
    5. (5) f- 1(C ∩ D) = f-1(C)∩ f-1(D)
    6. (6)  -1f(f (C )) = C ∩ f(X )
    -
    1. (1) x ∈ f(A ) とする。このとき、ある y ∈ A が存在して、 x = f(y) となる。ここで A ⊂ B だから、 y ∈ B となって、 x ∈ f(B) である。したがって f(A) ⊂ f(B) である。
    2. (2) x ∈ f(A )- f(B) とする。このとき x ∈ f (A ) かつ x ⁄∈ f(B) である。よって、ある a ∈ A が存在して x = f(a) となる。 a ∈ B とすると x = f(a) ∈ f(B ) となり矛盾が生じるので a ⁄∈ B である。したがって a ∈ A- B となり x ∈ f(A - B) である。よって f(A- B ) ⊃ f(A) - f(B ) が成り立つ。
    3. (3)  -1x ∈ f (C) とする。このとき f(x) ∈ C である。 C ⊂ D なので、 f(x) ∈ D である。よって  -1x ∈ f (D) となる。したがって  -1 - 1f (C ) ⊂ f (D ) となる。
    4. (4)
      • ) x ∈ f- 1(Y - D ) と す る。 f(x) ∈ Y - D となるので、 f(x) ∈ Y かつ f(x) ⁄∈ D である。したがって、 x ∈ f -1(Y ) = X x ⁄∈ f-1(D ) となって、 x ∈ X - f- 1(D ) である。 f-1(Y - D) ⊂ X - f-1(D) が成り立つ。
      • ) x ∈ X - f- 1(D ) とする。 x ∈ X かつ x ⁄∈ f-1(D ) である。よって、 f(x) ∈ f(X ) ⊂ Y f (x) ⁄∈ D で あ り f(x) ∈ Y - D となる。したがって x ∈ f-1(Y - D) となる。よって f-1(Y - D) ⊃ X - f-1(D) であ る。
      以上から f-1(Y - D) = X - f-1(D ) が成り立つ。
    5. (5)
      • ) x ∈ f- 1(C ∩ D) と す る。 f(x) ∈ C ∩ D と な る の で、 f(x) ∈ C か つ f(x) ∈ D である。したがって、 x ∈ f- 1(C ) かつ x ∈ f-1(D ) となり、 x ∈ f-1(C) ∩f- 1(D ) で ある。よって f-1(C ∩D ) ⊂ f- 1(C )∩ f-1(D) である。
      • ) x ∈ f- 1(C )∩f -1(D ) とする。 x ∈ f-1(C) かつ x ∈ f-1(D ) である。よって f(x) ∈ C か つ f(x) ∈ D である。すなわち f(x) ∈ C ∩ D であり、 x ∈ f-1(C ∩ D ) となる。したがって f-1(C ∩D ) ⊃ f- 1(C )∩f -1(D ) となる。
      以上から、  - 1 -1 -1f (C ∩ D ) = f (C)∩ f (D ) が成り立つ。
    6. (6)
      • ) x ∈ f(f-1(C)) とする。ある y ∈ f-1(C ) が存在して x = f(y) となる。ここで、 f(y) ∈ C だから、 x = f (y) ∈ C である。また y ∈ f-1(C) ⊂ X だから、 f(y) ∈ f (X ) である。よって x ∈ C ∩f (X ) と なる。 f (f- 1(C )) ⊂ C ∩f (X ) が成り立つ。
      • ) x ∈ C ∩ f(X) とする。 x ∈ C かつ x ∈ f(X) である。ある y ∈ X が存在して x = f(y) とな る。 f(y) = x ∈ C だから、 y ∈ f-1(C) である。したがって x = f(y) ∈ f(f-1(C)) となる。 よって f(f-1(C)) ⊃ C ∩ f(X) である。
      以上から、  - 1f(f (C )) = C ∩f(X ) が成り立つ。
  17. a ∈ Y を一つ固定する。 Ca : X → Y x ↦→ a で定義する。このとき Y の各元に対する逆像を求めよ。
    -
    f-1(a) = X f -1(x) = ϕ (x ⁄= a)
    このように集合 X の任意の元を集合 Y の唯一つの元 a へうつす写像を a への定値写像という。
  18. 集合 X から Y へ全単射が存在するとき X のべき集合 2X から Y のべき集合 2Y へ全単射が存在することを示せ。
    -
    f : X → Y を全単射とする。このとき、 ˜f : 2X → 2Y を、 A ∈ 2X に対して f˜(A) = f(A) で定めると、これが全単射であることを示す。
    g : Y → X f の逆写像とし ˜f と同様に写像 ˜g : 2Y → 2X を定義する。このとき ˜g∘ ˜f = id2X ˜f ∘˜g = id2Y を示せば、問題 20 より ˜f は全単射である。  XA ∈ 2 とするとき問題 22 (6) より  -1 Yg(g (A)) = A ∩ g(2 ) であるが、 g は全射なので  Y Xg(2 ) = 2 であり、 よって  -1g(g (A )) = A である。これは  ˜˜g∘ f = id2X を意味する。 同様に ˜f ∘ ˜g = id2Y も成り立ち ˜f は全単射である。
  19. 写像 f : X → Y g,h : Y → X g∘f = idX f ∘h = idY を満たすならば、 f は全単射で、 g = h であ ることを示せ。
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    問題 18, 19 より、 f は全単射である。また g = g∘idY = g∘ (f ∘h ) = (g∘f) ∘h = idX ∘ h = h である。
  20. 集合 X の部分集合 A に対して、 fA ∈ Map (X, ℝ)
     {1, x ∈ A,fA(x) = 0, x ⁄∈ A
    で定める。 (これを A の特性関数という。)A ,B X の部分集合とすると、任意の x ∈ X に対して
    fA∩B(x) = fA (x)fB(x), fA∪B(x) = fA(x)+ fB(x)- fA∩B (x)
    であることを示せ。
    -
    まず fA∩B(x) = fA(x)fB(x) を示す。 x ∈ A∩ B のとき fA(x) = 1 = fB(x) なので fA (x)fB(x) = 1 である。 それ以外の場合には fA(x) = 0 または fB(x) = 0 なので fA(x)fB(x) = 0 である。よって fA∩B(x) = fA (x )fB (x) である。 fA∪B(x) = fA (x )+ fB(x)- fA∩B(x) を示す。 (1) x ∈ A ∩ B , (2) x ∈ A∩ Bc , (3) x ∈ Ac ∩ B , (4) x ∈ Ac ∩Bc の四つの場合に分けて考える。 (1) のとき (右辺 ) = 1 + 1- 1 = 1 = (左 辺) である。 (2) のとき (右 辺 ) = 1+ 0 - 0 = 1 = (左 辺 ) である。 (3) のとき (右辺 ) = 0+ 1- 0 = 1 = (左 辺) である。 (4) のとき (右辺 ) = 0 + 0- 0 = 0 = (左辺 ) である。よっていずれの場合 も fA∪B (x) = fA(x)+ fB(x)- fA∩B (x) が成り立つ。
  21. X = {1,2,3,4,5} Y = {a,b,c} とし、写像 f : X → Y
    f(1) = a, f(2) = b, f(3) = b, f(4) = a, f(5) = b
    で 定める。このとき、以下のものを求めよ。
    1. (1) f(X )
    2. (2) f({1,2})
    3. (3) f({1,4})
    4. (4) f- 1(a)
    5. (5)  - 1f (c)
    6. (6) f- 1({a,c})
    -
    1. (1) {a,b}
    2. (2) {a,b}
    3. (3) {a}
    4. (4) {1,4}
    5. (5) ϕ (空集合)
    6. (6) {1,4}
  22. f : ℝ → ℝ , 2f(x) = x とする。また a,b ∈ ℝ に対して
    (a,b) = {r ∈ ℝ | a < r < b}, (開 区間 )[a,b] = {r ∈ ℝ | a ≤ r ≤ b}, (閉 区間 )(a,b] = {r ∈ ℝ | a < r ≤ b}, (半 開区 間 )[a,b) = {r ∈ ℝ | a ≤ r < b}, (半 開区 間 )
    の記号を用いる。これらはいずれも ℝ の部分集合と見る。このとき、以下のものを求めよ。
    1. (1) f([0,1])
    2. (2) f([- 1,1])
    3. (3) f- 1(4)
    4. (4)  - 1f ([0,1])
    5. (5) f- 1([- 1,1])
    6. (6) f(f-1([0,1]))
    7. (7)  -1f(f ([- 1,1]))
    8. (8) f([- 1,2])
    9. (9) f([- 1,0])
    10. (10) f([- 1,2]- [- 1,0])
    11. (11) f([- 1,2]) - f ([- 1,0])
    -
    1. (1) f([0,1]) = [0,1]
    2. (2) f([- 1,1]) = [0,1]
    3. (3)  - 1f (4) = {- 2,2}
    4. (4) f- 1([0,1]) = [- 1,1]
    5. (5) f- 1([- 1,1]) = [- 1,1]
    6. (6)  -1f(f ([0,1])) = f([- 1,1]) = [0,1]
    7. (7) f(f-1([- 1,1])) = f([- 1,1]) = [0,1]
    8. (8) f([- 1,2]) = [0,4]
    9. (9) f([- 1,0]) = [0,1]
    10. (10) f([- 1,2]- [- 1,0]) = f((0,2]) = (0,4]
    11. (11) f([- 1,2]) - f ([- 1,0]) = [0,4]- [0,1] = (1,4]
  23. 写像 f : ℝ → ℝ  3f (x) = x - x で定める。このとき、以下のものを求めよ。
    1. (1)f(ℝ)
    2. (2) - 1f (0)
    3. (3)f- 1(6)
    -
    1. (1) ℝ
    2. (2) {- 1,0,1}
    3. (3) {2}
  24. f : X → Y は単射であるとする。 A ⊂ X x ∈ X について「 x ∈ A ⇐ ⇒ f(x) ∈ f(A) 」であることを示せ。
    -
    • ) x ∈ A ならば、 f (A ) の定義より f(x) ∈ f(A) である。
    • ) f(x) ∈ f(A ) とする。ある a ∈ A があって f(x) = f(a) となる。このとき f が単射であることから x = a となり x ∈ A である。
  25. f : A → B ,g : B → C とする。
    1. (1) g ∘f が単射で、 g が単射ではない例を作れ。
    2. (2) g ∘f が全射で、 f が全射ではない例を作れ。
    -
    1. (1) A = {1} , B = {1,2} , C = {1} とし、 f : A → B f(1) = 1 , g : B → C g(1) = g(2) = 1 で定め る。このとき g は単射ではない。また g ∘f : A → C f(1) = 1 で定まるものであり、単射である。
    2. (2) (1) と同じ A,B, C,f,g が条件を満たしている。すなわち f は全射でなく、 g ∘f は全射である。
  26. f : X → Y ,g : Y → Z を写像とする。
    1. (1) g ∘f が全射で g が単射ならば f は全射であることを示せ。
    2. (2) g ∘f が単射で f が全射ならば g は単射であることを示せ。
    -
    1. (1) y ∈ Y と す る。 g(y) ∈ Z に 対 し て、 g∘ f が 全 射 な の で、 あ る x ∈ X があって g(y) = g ∘f(x) = g(f(x)) である。 g が単射なので y = f(x) となる。よって f は全 射である。
    2. (2) y,y′ ∈ Y について g(y) = g(y′) とする。 f は全射なので、ある x,x ′ ∈ X が存在して y = f(x) , y′ = f(x′) となる。このとき g ∘f(x) = g(f(x)) = g(y) = g(y′) = g(f(x′)) = g∘f (x′) である。 g∘ f は単 射なので x = x ′ となる。よって y = f(x) = f(x ′) = y′ となり g は単射である。
    18、問19 を用いれば (1) の g , (2) の f は全単射である。これを用いて証明してもよい。
  27. f ℝ から ℝ への写像で、任意の a,b ∈ ℝ に対して f(a- b) = f(a)- f(b) をみたすものとする。
    1. (1) f(0) = 0 であることを示せ。
    2. (2) f(- a) = - f(a) であることを示せ。
    3. (3) f が単射であることと f-1(0) = {0} であることが同値であることを示せ。
    -
    1. (1) f(0) = f(0 - 0) = f(0)- f(0) = 0 である。
    2. (2) f(- a) = f(0- a) = f(0)- f(a) = - f(a) である。
    3. (3) f は単射であるとする。 (1) より  -10 ∈ f (0) であるから  -1{0} ⊂ f (0) である。 a ∈ ℝ f(a) = 0 をみ たすものとすると f(a) = 0 = f (0) で、 f が単射であることにより a = 0 である。よって  -1f (0) = {0} で ある。 f- 1(0) = {0} とする。 a,b ∈ ℝ について f(a) = f(b) とする。このとき f(a- b) = f(a)- f(b) = 0 であ る。したがって a- b ∈ f -1(0) = {0} となり a- b = 0 、すなわち a = b である。よって f は単射である。
  28. f : A → B ,g : A → C とする。簡単のため A ,B ,C はいずれも空集合ではないとする。次の条件は同値であることを示 せ。
    1. (1) ある h : C → B が存在して f = h∘ g となる。
    2. (2)  ′g(a) = g(a) ならば  ′f(a) = f(a ) である。
    -
    1. (1) ⇒ (2).
      条件を満たす h : C → B が存在したとする。 また  ′g(a) = g(a) とする。 このとき  ′ ′ ′f(a) = h ∘g(a) = h(g(a)) = h(g(a )) = h∘ g(a ) = f(a ) である。
    2. (2) ⇒ (1).
      g(a) = g(a′) ならば f (a) = f(a′) 」が成り立つと仮定し、 f = h ∘g となる h : C → B を構成する。 b0 ∈ B を一つ選ぶ。
      • c ∈ C - g(A) に対しては h(c) = b0 とする。
      • c ∈ g(A ) とする。ある a ∈ A があって g(a) = c である。このとき h(c) = f(a) として、写像が矛盾なく定義できることを示す。これを示すには g(a) = c = g(a′) なる a,a′ ∈ A に対して f(a) = f(a′) となることをいえばよいが、これは仮定から成り立っている。
      上のように定義した h に対して f = h∘g であることを示す。 a ∈ A とする。このとき h の定義により h ∘g(a) = h(g(a)) = f (a) である。よって f = h∘g が成り立つ。
  29. 写像 f : A → B g : C → D に対して f × g : A × C → B ×D (f ×g)(a,c) = (f(a),g(c)) で定め る。
    1. (1) f , g 共に単射であるとき f ×g も単射であることを示せ。
    2. (2) f , g 共に全射であるとき f ×g も全射であることを示せ。
    -
    1. (1) (f ×g)(a,c) = (f × g)(a′,c′) とする。このとき (f(a),g(c)) = (f(a′),g(c′)) であるから f(a) = f (a′) , g(c) = g(c′) である。 f , g は共に単射なので a = a′ , c = c′ となる。よって (a,c) = (a′,c′) となる。よっ て f × g は単射である。
    2. (2) (b,d) ∈ B × D とする。 b ∈ B , d ∈ D である。 f は全射なので、ある a ∈ A があって f (a) = b で ある。また g は全射なので、ある c ∈ C があって g(c) = d である。このとき (a,c) ∈ A × C であって (f ×g)(a,c) = (f(a),g(c)) = (b,d) となるので f × g は全射である。
  30. X ,Y を空でない集合とする。 X から Y への単射が存在するとき、 Y から X への全射が存在することを示せ。
    -
    f : X → Y を単射とする。このとき g : X → f(X ) ( g(x) = f(x) ) が存在して、これは全単射である。 h : Y → X を以瑳のように定義する。 x0 ∈ X を任意にとり、固定する。そして
     { g- 1(y), y ∈ f(x)の ときh(y) = x , y ⁄∈ f(x)の とき 0
    とする。このとき h(Y ) ⊃ h(f(X)) = g- 1(f(X )) = g-1(g(X )) = X であるから h は全射である。