集合論問題集
3
写像
(1) 写像とは何か。その定義を書け。
(2) 写像が等しいとはどういうことか。その定義を書け。
-
(1) 集合
に対して、
の各元に対して
の元をひとつずつ対応させる規則を
から
への写像とい う。 (
が
から
の写像であるとき
とかく。)
(2)
,
が等しいとは
,
であり、任意の
に対して
であることをいう。 (このとき
とかく。)
を
で定めると、これは写像かどうかを答えよ。ただし
とする。
-
写像ではない。なぜなら、
の各元に対して
の元が
つ対応しているので定義に反する。
を
で定めると、これは写像かどうかを答えよ。
-
写像である。
写像を具体的に一つ作れ。
-
を
で定めるとこれは写像である。
を
を
で定めたとき、合成写像
を求めよ。
-
合成写像の定義から、
である。つまり、合成写像は、
である。
(1) 写像
に対して、像
の定義を書け。
(2) 写像
と
に対して、
の逆像
の定義を書け。
(3)
を
で定めたとき
に対する像
と
の逆像
を具体 的に書け。
-
(1)
(2)
(3)
,
を写像とする。
という記号は異なる意味で用いられることがある。これについて説明せよ。
-
写像
に対して
は次の意味で用いられる。
(1)写像の逆像
に対して
である。また
に対して
である。
,
ともに
の部分集合である。
(2)逆写像
が全単射のときに限り、
で
の逆写像を表す。すなわち
に対して
となる
が唯一つ存在し、
である。
は
の元である。
が全単射であっても (1) の意味で用いることもできる。このとき
は (1) の意味ならば
の (唯一つの 要素をもつ) 部分集合、 (2) の意味ならば
の一つの元である。この記号だけではどちらであるかの判別は不可能であ り、説明がない場合には前後の文脈から理解することとなる。
に対する
はどちらで理解しても同じ ものになる。
(1) 全射、単射の定義を書け。
(2) 写像
に対して
「
,
s.t.
」 (任意の
の元
に 対して
となるような
の元
が存在する)を示せ。
(3) 全射
を構成せよ。また、それが全射であることを示せ。
(4) 恒等写像以外の単射
を構成せよ。また、それが単射であることを示せ。
-
(1)
を写像とする。
が単射であることの定義
の元
に対して、
が成り立つとき
は単射であるという。 (任意の
の元
に対して、
が成り立つときとしてもよい。)
が全射であることの定義
が成り立つとき
が全射であるという。(任意の
の元
に対して
となるよう な
の元
が存在するときとしてもよい。)
(2)
であるから
である。すなわち、任意の
の元
に対して
となるよ うな
の元
が存在する。
写像の定義から
で、仮定より、
である。よって
である。
(3) 問題
4
の写像が全射となっている。
なぜなら、
の任意の元
に対して
となって、
は
の元である。した がって
は全射である。
(4)
を
と定めると単射である。
なぜなら、任意の
の元
,
に対して、
とすると、
だから、
となる。よって
は 単射である。
ここで、書いたものは例であり、問題の条件を満たす写像は多数存在する。
(1)
を
で定めるとき、
は単射であることを示せ。
(2)
を
で定めるとき、
は全射であることを示せ。
(3)
を
で定めるとき、
は単射であるが全射でないことを示せ。
-
(1)
とする。このとき
なので
である。
(2)
とする。
であり
である。
(3)
とする。
なので
であり、よって
は単射である。
に対して
となる
は存在しないので
は全射ではない。
(1) 全単射の定義を書け。
(2) 閉区間
から閉区間
への全単射を具体的に構成せよ。ただし、ここで
,
であるとする。
(3)
から
への全単射を具体的に構成せよ。(ちょっと難かしい。)
-
(1) 写像
が全単射であるとは、
が全射かつ単射であることである。 (任意の
に対して
とな る
がただひとつ定まるとしてもよい。)
(2)
と定めると全単射である。 (点
を通る傾き
の直線である。)
(3)
を
で定めるとこれは全単射である。
(1)
から
への単射ではあるが全射ではない
写像を具体的に一つ構成せよ。
(2)
から
への全射ではあるが単射ではない写像を具体的に一つ構成せよ。
(3)
から
への単射ではあるが全射ではない写像を具体的に一つ構成せよ。
(4)
から
への全射ではあるが単射ではない写像を具体的に一つ構成せよ。
-
(1)
(2)
(3)
(4)
条件を満たす写像は他にもたくさんある。
写像
について以下の問に答えよ。
(1)
が全射のとき、
に対して、
であることを示せ。
(2) 一般には
は正しくない。この式が成り立たないような例をあげよ。
(3)
が単射のとき、
に対して、
であることを示せ。
(4) 一般には
は正しくない。この式が成り立たないような例をあげよ。
-
(1)
)
とする。ある
が存在して、
となる。ここで、
より、
となって(逆像の定義)
である。
)
とする。
は全射なので、ある
が存在して、
となる。ここで
なので
である。したがって
である。
以上から、
となる。
(2)
とし
を定値写像
(
) とする。このとき
とすれば
で あり
である。
(3)
)
とする。
となって、像の定義より、ある
が存在して
となる。
は単射なので
である。
)
とする。
で、逆像の定義より、
である。
以上から、
となる。
(4)
とし
を定値写像
(
) とする。このとき
とすれば
で あり
である。
を写像とし
,
とする。
(1)
を示せ。
(2)
を示せ。また
は成り立つかどうかを考察し、成り立つな らば証明し、成り立たないならば、反例を挙げよ。
-
(1)
)
とする。このとき
または
である。
とすると、ある
があって
である。このとき
なので
である。
のときもまったく同様にして
となる。よって
であ る。
)
とする。このとき、ある
が存在して
である。
ならば
であり、
ならば
なので
である。よって
である。
以上から、
となる。
(2)
と す る。 あ る
が あっ て
である。
より
であり、
より
である。 よって
となり
が成り立つ。
は成り立たない。
(反例)
を
と定め、
,
とすると、
,
である。よって
であるから等号は成立しな い。
を写像、
で
とする。このとき
であることを示せ。
-
と仮定し
とする。定義により
であるが、
の仮 定に反する。よって
である。
,
について、
,
ともに単射ならば
も単射であることを示せ。
-
に対して
とする。このとき
となって、
が単射なので、
。さらに、
も単射だから
。すなわち、
は単射である。
,
について、
ともに全射ならば
も全射であることを示せ。
-
とする。
が全射だから適当な
が存在して、
となる。また
も全射だから、適当な
が存在して
となる。このとき
。であるから
は全射である。
,
について、
が全単射であるとき「
が単射である」
「
も単射である」を示せ。
-
)
に対して、
とする。このとき
となり、
,
ともに 単射であるから、
となる。。すなわち
は単射である。
)
に対して、
とする。
は全単射だから、
,
となる
,
存在する。このとき、
となる。
は単射なので、
である。よっ て
である。以上より
は単射である。
,
について、
が全射ならば
は全射であることを示せ。
-
元をとって考える
像で考える
の二つの方法で解いてみることにする。
[解答 1]
とする。
は全射だから、
となる
が存在する。
なので
は全射である。
[解答 2]
は全射なので
である。よって
となり
は全 射である。
,
について、
が単射ならば
は単射であることを示せ。
-
とする。このとき
である。
は単射なので
となる。
について、
が全単射であるための必要十分条件は、
で
かつ
なるものが存在することである。これを示せ。ただし
は
の恒等写像を表すものとする。
-
が全単射とすれば、
は逆写像
をもつ。
とすれば、これは
,
を満たす。
を
かつ
を満たすものとする。恒等写像は全単射なので
と問題
18
より
は全射である。また
と問題
19
より
は単射である。よって
は全単射である。
とする。
を
で定義する。このとき以下を証明せよ。
(1)
が単射ならば
は単射である。
(2)
が全射ならば
は全射である。
-
(1)
に対して、
であるとする。任意の
に対して、
、すなわち
である。ここで、
は単射なので、
と なる。
は任意なので
となる。したがって
は単射である。
(2)
とする。
は全射なので、各
に対して
なる
が存在する。このとき
を
で定めれば (実はここで選択公理が必要である)、
となり
である。よって
は全射である。
を集合、
を
の部分集合、
を
の部分集合とする。
このとき
に対して以下が成立することを示せ。
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
-
(1)
とする。このとき、ある
が存在して、
となる。ここで
だから、
となって、
である。したがって
である。
(2)
とする。このとき
かつ
である。よって、ある
が存在して
となる。
とすると
となり矛盾が生じるので
である。したがって
となり
である。よって
が成り立つ。
(3)
とする。このとき
である。
なので、
である。よって
となる。したがって
となる。
(4)
)
と す る。
となるので、
かつ
である。したがって、
,
となって、
である。
が成り立つ。
)
とする。
かつ
である。よって、
,
で あ り
となる。したがって
となる。よって
であ る。
以上から
が成り立つ。
(5)
)
と す る。
と な る の で、
か つ
である。したがって、
かつ
となり、
で ある。よって
である。
)
とする。
かつ
である。よって
か つ
である。すなわち
であり、
となる。したがって
となる。
以上から、
が成り立つ。
(6)
)
とする。ある
が存在して
となる。ここで、
だから、
である。また
だから、
である。よって
と なる。
が成り立つ。
)
とする。
かつ
である。ある
が存在して
とな る。
だから、
である。したがって
となる。 よって
である。
以上から、
が成り立つ。
を一つ固定する。
を
で定義する。このとき
の各元に対する逆像を求めよ。
-
,
このように集合
の任意の元を集合
の唯一つの元
へうつす写像を
への定値写像という。
集合
から
へ全単射が存在するとき
のべき集合
から
のべき集合
へ全単射が存在することを示せ。
-
を全単射とする。このとき、
を、
に対して
で定めると、これが全単射であることを示す。
を
の逆写像とし
と同様に写像
を定義する。このとき
と
を示せば、問題
20
より
は全単射である。
とするとき問題
22
(6) より
であるが、
は全射なので
であり、 よって
である。これは
を意味する。 同様に
も成り立ち
は全単射である。
写像
,
が
,
を満たすならば、
は全単射で、
であ ることを示せ。
-
問題
18
,
19
より、
は全単射である。また
である。
集合
の部分集合
に対して、
を
で定める。 (これを
の特性関数という。)
,
を
の部分集合とすると、任意の
に対して
であることを示せ。
-
まず
を示す。
のとき
なので
である。 それ以外の場合には
または
なので
である。よって
である。
を示す。 (1)
, (2)
, (3)
, (4)
の四つの場合に分けて考える。 (1) のとき
である。 (2) のとき
である。 (3) のとき
である。 (4) のとき
である。よっていずれの場合 も
が成り立つ。
,
とし、写像
を
で 定める。このとき、以下のものを求めよ。
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
-
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(空集合)
(6)
,
とする。また
に対して
の記号を用いる。これらはいずれも
の部分集合と見る。このとき、以下のものを求めよ。
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
(8)
(9)
(10)
(11)
-
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
(8)
(9)
(10)
(11)
写像
を
で定める。このとき、以下のものを求めよ。
(1)
(2)
(3)
-
(1)
(2)
(3)
は単射であるとする。
と
について「
」であることを示せ。
-
)
ならば、
の定義より
である。
)
とする。ある
があって
となる。このとき
が単射であることから
となり
である。
,
とする。
(1)
が単射で、
が単射ではない例を作れ。
(2)
が全射で、
が全射ではない例を作れ。
-
(1)
,
,
とし、
を
,
を
で定め る。このとき
は単射ではない。また
は
で定まるものであり、単射である。
(2) (1) と同じ
が条件を満たしている。すなわち
は全射でなく、
は全射である。
,
を写像とする。
(1)
が全射で
が単射ならば
は全射であることを示せ。
(2)
が単射で
が全射ならば
は単射であることを示せ。
-
(1)
と す る。
に 対 し て、
が 全 射 な の で、 あ る
があって
である。
が単射なので
となる。よって
は全 射である。
(2)
について
とする。
は全射なので、ある
が存在して
,
となる。このとき
である。
は単 射なので
となる。よって
となり
は単射である。
問
18
、問
19
を用いれば (1) の
, (2) の
は全単射である。これを用いて証明してもよい。
は
から
への写像で、任意の
に対して
をみたすものとする。
(1)
であることを示せ。
(2)
であることを示せ。
(3)
が単射であることと
であることが同値であることを示せ。
-
(1)
である。
(2)
である。
(3)
は単射であるとする。 (1) より
であるから
である。
を
をみ たすものとすると
で、
が単射であることにより
である。よって
で ある。
とする。
について
とする。このとき
であ る。したがって
となり
、すなわち
である。よって
は単射である。
,
とする。簡単のため
,
,
はいずれも空集合ではないとする。次の条件は同値であることを示 せ。
(1) ある
が存在して
となる。
(2)
ならば
である。
-
(1)
(2).
条件を満たす
が存在したとする。 また
とする。 このとき
である。
(2)
(1).
「
ならば
」が成り立つと仮定し、
となる
を構成する。
を一つ選ぶ。
に対しては
とする。
とする。ある
があって
である。このとき
として、写像が矛盾なく定義できることを示す。これを示すには
なる
に対して
となることをいえばよいが、これは仮定から成り立っている。
上のように定義した
に対して
であることを示す。
とする。このとき
の定義により
である。よって
が成り立つ。
写像
,
に対して
を
で定め る。
(1)
,
共に単射であるとき
も単射であることを示せ。
(2)
,
共に全射であるとき
も全射であることを示せ。
-
(1)
とする。このとき
であるから
,
である。
,
は共に単射なので
,
となる。よって
となる。よっ て
は単射である。
(2)
とする。
,
である。
は全射なので、ある
があって
で ある。また
は全射なので、ある
があって
である。このとき
であって
となるので
は全射である。
,
を空でない集合とする。
から
への単射が存在するとき、
から
への全射が存在することを示せ。
-
を単射とする。このとき
(
) が存在して、これは全単射である。
を以瑳のように定義する。
を任意にとり、固定する。そして
とする。このとき
であるから
は全射である。