集合論問題集

2 集合

  1. A , B を集合とする。
    1. (1) x ∈ A∩ B であることの定義を書け。
    2. (2) x ∈ A∪ B であることの定義を書け。
    3. (3) A ⊂ B であることの定義を書け。
    4. (4) A = B であることの定義を書け。
    5. (5) A - B の定義を書け。
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    1. (1) x ∈ A∩ B ⇐ ⇒ x ∈ A かつ x ∈ B
    2. (2) x ∈ A∪ B ⇐ ⇒ x ∈ A または x ∈ B
    3. (3) A ⊂ B ⇐ ⇒ x ∈ A ならば x ∈ B
    4. (4) A = B ⇐ ⇒ A ⊂ B かつ A ⊃ B
    5. (5) {a | a ∈ A か つ a ⁄∈ B}
    定義はきちんと覚えること。定義を知らないとなにもできない。 A - B A \ B と書かれることも多い。
  2. A = {1,2,3,5,7,9} , B = {2,3,6,7,8} であるとき、 A ∩ B , A ∪ B をそれぞれ求めよ。
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    A∩ B = {2,3,7} A∪ B = {1,2,3,5,6,7,8,9} .
  3. A 4 の倍数全体の集合、 B 6 の倍数全体の集合とする。このとき A ∩ B を決定せよ。
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    A∩ B 12 の倍数全体の集合。
  4. A ⊂ C かつ B ⊂ C であるならば、 A ∪B ⊂ C であることを示せ。
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    x ∈ A ∪ B とする。このとき、 x ∈ A または x ∈ B である。 x ∈ A のとき A ⊂ C より x ∈ C であり、 x ∈ B のとき B ⊂ C より x ∈ C である。よって、いずれの場合も x ∈ C である。以上より A ⊂ C かつ B ⊂ C ならば A ∪ B ⊂ C が成り立つ。
  5. A を集合とする。 A ∩ ϕ = ϕ A ∪ ϕ = A を示せ。
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    • A ∩ ϕ = ϕ の証明
      • x ∈ ϕ = ⇒ x ∈ A ∩ϕ 」は、 x ∈ ϕ が偽なので、真である。よって A ∩ ϕ ⊃ ϕ である。
      • 命題「 x ∈ A∩ ϕ 」は「 x ∈ A かつ x ∈ ϕ 」と同値で、 x ∈ ϕ が偽なので、偽である。よって命題 「 x ∈ A ∩ϕ =⇒ x ∈ ϕ 」は真となり A ∩ϕ ⊂ ϕ である。
      よって A ∩ ϕ = ϕ である。
    • A ∪ ϕ = A の証明
      • x ∈ A とする。このとき「 x ∈ A または x ∈ ϕ 」は真となり x ∈ A ∪ϕ である。よって A ∪ ϕ ⊃ A で ある。
      • x ∈ A ∪ ϕ とする。 x ∈ A または x ∈ ϕ である。 x ∈ ϕ は偽であるから x ∈ A となる。よって A ∪ϕ ⊂ A である。
      以上より A ∪ϕ = A である。
  6. 集合族 {A λ}λ∈Λ を考える。ただし A λ は集合 M の部分集合とし、補集合は M で考えることにする。
    1. (1) x ∈ ⋃ Aλ λ∈Λ の定義を書け。
    2. (2)  ⋃ c ⋂ c( λ∈Λ Aλ) = λ∈ΛA λ (De Morgan の法則) を証明せよ。
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    1. (1) ある λ ∈ Λ が存在して x ∈ Aλ である。
    2. (2)
      •  ⋃x ∈ ( λ∈Λ Aλ)c とする。 (1) の否定に注意すれば「任意の λ ∈ Λ に対して x ⁄∈ Aλ 」である。したがっ て「任意の λ ∈ Λ に対して x ∈ Aλc 」となり  ⋂ cx ∈ λ∈Λ Aλ である。よって ⋃ ⋂ c( λ∈ΛA λ)c ⊂ λ∈Λ Aλ となる。
      •  ⋂x ∈ λ∈ΛA λc とする。「任意の λ ∈ Λ に対して x ∈ A λc 」、すなわち「任意の λ ∈ Λ に対して x ⁄∈ A λ 」である。この否定は「ある λ ∈ Λ が存在して x ∈ Aλ 」であるから、  ⋃x ∈ ( λ∈Λ Aλ)c とな る。これにより ⋃ ⋂( λ∈ΛA λ)c ⊃ λ∈Λ Aλc となる。
      よって (⋃ Aλ)c = ⋂ A λc λ∈Λ λ∈Λ となる。
  7. A ⊂ B とする。補集合は B で考えることにして以下を証明せよ。
    1. (1) (Ac)c = A
    2. (2) A ∪ B = B
    3. (3)  cA ∪ A = B
    4. (4) Ac ∩ A = ϕ
    5. (5) ϕc = B
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    1. (1)
      • a ∈ A とする。このとき a ⁄∈ Ac なので a ∈ (Ac )c である。よって (Ac)c ⊃ A となる。
      • a ∈ B a ∈ (Ac)c とする。 a ⁄∈ (Ac ) = B - A である。これは a ⁄∈ B または a ∈ A ということで ある。しかし a ∈ B なので a ∈ A となる。したがって (Ac)c ⊂ A である。
      以上を併せて A = (Ac)c である。
    2. (2)
      • x ∈ A ∪ B とする。 x ∈ A または x ∈ B である。仮定より A ⊂ B だから x ∈ A ならば x ∈ B で ある。したがって、 x ∈ B である。 A ∪ B ⊂ B が成り立つ。
      一般に A ∪ B ⊃ B は成り立つので A ∪ B = B である。
    3. (3)
      • x ∈ A ∪ Ac とする。 x ∈ A または x ∈ Ac である。 B が全体集合なので A ⊂ B Ac ⊂ B である。 したがって x ∈ B である。 A ∪ Ac ⊂ B となる。
      • x ∈ B とする。 x ∈ A または x ⁄∈ A なので x ∈ A ∪ Ac である。 A∪ Ac ⊃ B となる。
      以上より A ∪Ac = B が成り立つ。
    4. (4) x ∈ B を任意にとる。  cx ∈ A ∩A と仮定する。このとき「 x ∈ A かつ  cx ∈ A 」であり、これは「 x ∈ A かつ x ⁄∈ A 」と同値である。一般に命題 P に対して P ∧ (ャP ) は偽であるから、「 x ∈ A かつ x ⁄∈ A 」は偽である。よっ て、  cx ⁄∈ A ∩ A である。したがって  cA ∩ A = ϕ である。
    5. (5) x ∈ Bc とする。 x ⁄∈ B である。全体集合を B としているので x ∈ B である。これは矛盾である。したがって Bc = ϕ である。両辺の補集合をとって B = (Bc)c = ϕc である。
  8. (A ∪ B)c = Ac ∩Bc を示せ。ただし A , B は集合 M の部分集合とし、補集合は M で考えることにする。
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    • x ∈ (A ∪ B)c とする。 x ⁄∈ A ∪B である。したがって、 x ⁄∈ A かつ x ⁄∈ B となり、 x ∈ Ac ∩Bc であ る。
    • x ∈ Ac ∩ Bc とする。 x ∈ Ac かつ x ∈ Bc である。すなわち x ⁄∈ A かつ x ⁄∈ B だから x ⁄∈ A ∪B となる。したがって、 x ∈ (A ∪B )c である。
    以上より (A ∪ B)c = Ac ∩ Bc である。
  9. (A ∩ B)c = Ac ∪Bc を示せ。ただし A , B は集合 M の部分集合とし、補集合は M で考えることにする。
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    8より、 (Ac ∪ Bc)c = (Ac)c ∩ (Bc)c = A ∩ B であるから、両辺の補集合をとって (A ∩ B)c = ((Ac ∪ Bc)c)c = Ac ∪Bc で ある。
  10. A ∩ B ⊂ C ならば  cB ⊂ A ∪ C であることを証明せよ。ただし A , B , C は集合 M の部分集合とし、補集合は M で考えることにする。
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    x ∈ B とする。 問 7(3) より x ∈ A または  cx ∈ A である。 x ∈ A のとき x ∈ A ∩B であり、仮定 A ∩ B ⊂ C より x ∈ C となる。したがって  cx ∈ A または x ∈ C である。したがって  cB ⊂ A ∪C である。
  11. A ∩ C = B ∩ C かつ A ∪ C = B ∪C であるならば、 A = B であることを証明せよ。
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    a ∈ A とし a ∈ B となることを示す。 a ∈ A ∪ C = B ∪C なので a ∈ B または a ∈ C である。 a ∈ C と すれば a ∈ A ∩ C = B ∩C であるから a ∈ B である。よっていずれの場合も a ∈ B となり A ⊂ B である。
    同様に B ⊂ A も示され A = B となる。
  12. 集合 X の部分集合 A, B について A ∩B = ϕ であることと A ⊂ X - B であることは同値であることを示せ。
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    A ∩B = ϕ と仮定する。 x ∈ A とする。条件より A ∩ B = ϕ だから x ⁄∈ B 、すなわち x ∈ X - B 。よって A ⊂ X - B である。
    A ⊂ X - B とする。 A ∩ B ⊃ ϕ は空集合の定義から成り立つので A ∩B ⊂ ϕ 、すなわち A∩ B = ϕ を示す。 x ∈ A ∩ B とすると x ∈ A ⊂ X - B なので x ⁄∈ B となり、これは矛盾である。よって A ∩ B = ϕ である。
  13. 直積集合 A × B とは何か。その定義を書け。
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    A× B = {(x,y) | x ∈ A y ∈ B}
  14. A = {1,2,3} , B = {a,b} であるとき A × B の元をすべて書け。ただし a ⁄= b とする。
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    (1,a),(1,b),(1,c),(2,a),(2,b),(2,c),(3,a),(3,b),(3,c)
  15. A = {a,b,c} という集合のべき集合 2A を具体的に書け。ただし a ⁄= b , a ⁄= c , b ⁄= c とする。
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    2A = {ϕ,{a},{b},{c},{a,b},{b,c},{c,a},A }

    A には 3 個の元があるので 23 8 個部分集合が存在します。

  16. 自然数 n に対して An = {m ∈ ℕ | m ≤ n} とおく。
    1. (1) ⋃n∈ℕAn を求め、それが正しいことを証明せよ。
    2. (2) ⋂ n∈ℕAn を求め、それが正しいことを証明せよ。
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    1. (1) ⋃ An = ℕ n∈ℕ
      • 任意の An ℕ の部分集合だから、 ⋃ n∈ℕAn ⊂ ℕ である。
      • x ∈ ℕ とする。 x ≤ x だから、 x ∈ Ax である。したがって  ⋃x ∈ n∈ℕ An となる。よって ⋃ n∈ℕAn ⊃ ℕ となる。
      以上から ⋃ n∈ℕAn = ℕ が成り立つ。
    2. (2) ⋂n∈ℕAn = {1}
      • 任意の n ∈ ℕ に対して、 An ∋ 1 より、 ⋂ n∈ℕAn ∋ 1 である。よって ⋂ n∈ℕ An ⊃ {1} である。
      • 次に ⋂ n∈ℕAn ⊂ {1} を対偶によって示す。 1 ⁄= x ∈ ℕ について  ⋂x ⁄∈ n∈ ℕAn 、すなわち、ある n ∈ ℕ に対して x ⁄∈ An をいえばよい。 x ≥ 2 なので x ⁄∈ {1} = A1 である。よって x ⁄= 1 ならば  ⋂x ⁄∈ n∈ℕAn である。
      以上から、 ⋂ n∈ℕ An = {1} が成り立つ。 (対偶を使わない ⋂ An ⊂ {1} n∈ℕ の証明)
      a ∈ ⋂ An n∈ℕ とする。任意の n ∈ ℕ に対して a ∈ An であるから、特に a ∈ A1 = {1} である。よって a = 1$ であ り a ∈ {1} である。したがって ⋂ An ⊂ {1} n∈ℕ となる。
  17. A ⊂ ℕ とする。 A が無限集合であることを論理記号を使って特徴付けよ。
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    ∀a ∈ ℕ, ∃b ∈ A, a ≤ b
  18. 自然数 ℕ で添字付けられた集合の族 {An | n ∈ ℕ} に対して
     ∞⋃ ⋂∞Bm = Aj, Cm = Aj j=m j=m
    とおく。このとき次を示せ。
    1. (1) ⋂∞ m=1 Bm は無数に多くの An に含まれる元の全体である。
    2. (2) ⋃ ∞m=1 Cm はある番号以上のすべての An に含まれる元の全体である。
    3. (3) m > n ならば A ⊂ A m n であるとする。このとき ⋂ ∞ B = ⋃ ∞ C m=1 m m=1 m であることを示せ。
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    1. (1) B = ⋂ ∞m=1 Bm とおく。 無数に多くの An に含まれる元の全体からなる集合を S とおく。 a ⁄∈ S ということは、「 a ∈ An となる n ∈ ℕ が有限個しかない」ということで、これは「ある N ∈ ℕ が存在して n > N ならば a ⁄∈ An 」という ことである。論理記号で書けば「 ∃N ∈ ℕ(∀n ∈ N(n > N ⇒ a ⁄∈ An)) 」である。 a ∈ A はその否定であるか ら、「 ∀N ∈ ℕ(∃n ∈ ℕ ((n > N) ∧(a ∈ An )) 」である。 B = S を示す。
      • a ∈ B とする。 N ∈ ℕ を任意に取り固定する。 B の定義より a ∈ B = ⋃∞ A N+1 j=N+1 j である。よっ て、ある k ≥ N + 1 > N があって a ∈ B k である。上記の考察から a ∈ S となる 。したがって B ⊂ S である。
      • a ∈ S とする。 m ∈ ℕ を任意に取り固定する。このとき a ∈ Bm を示せばよい。 a ∈ S であるから、 上記の考察から、ある k > m があって a ∈ Ak である。このとき  ⋃ ∞a ∈ Ak ⊂ j=m Aj = Bm である。 よって a ∈ B である。したがって B ⊃ S である。
      以上より B = S である。
    2. (2) C = ⋃ ∞ C m=1 m とおく。ある番号以上のすべての A n に含まれる元の全体からなる集合を T とおく。 C = T を示 す。
      • a ∈ C とする。このとき、ある k ∈ ℕ があって  ⋂ ∞a ∈ Ck = j=kAj である。したがって、 ℓ ≥ k なる 任意の ℓ ∈ ℕ に対して a ∈ Aℓ であり、よって a ∈ T である。したがって C ⊂ T である。
      • a ∈ T とする。 T の定義より、ある k ∈ ℕ があって ℓ ≥ k ならば a ∈ A ℓ である。したがって
         ∞ ∞a ∈ ⋂ A = C ⊂ ⋃ C = C ℓ=k ℓ k m=1 m
        である。よって C ⊃ T である。
      以上より C = T である。
    3. (3) B , C は (1), (2) で定めたものとする。 B = C を示す。
      • b ∈ B とする。 m ∈ ℕ を取って固定する。 B の定義により  ⋃ ∞b ∈ Bm = j=m Aj である。よって、あ る k ≥ m があって b ∈ Ak となるが、仮定より Ak ⊂ Am なので b ∈ Am である。したがって、任意 の m ∈ ℕ について b ∈ Am となる。よって  ⋂∞b ∈ m=1 Am = C1 ⊂ C である。したがって B ⊂ C で ある。
      • c ∈ C とする。 m ∈ ℕ を任意に取り固定する。 C の定義により、 ある k ∈ ℕ があって  ⋂c ∈ Ck = ∞j=k Aj である。よって ℓ ≥ k なる任意の ℓ ∈ ℕ に対して c ∈ Aℓ で ある。 n = max {m,k} とおく。 n ≥ k より c$∈ An である。また n ≥ m と仮定により An ⊂ Am で ある。更に Am ⊂ Bm である。よって c ∈ Bm となる。 m ∈ ℕ は任意に取って固定したものだったから  ⋂c ∈ ∞m=1Bm = B である。 B ⊃ C が成り立つ。
      以上より B = C である。