集合論問題集

  1. 「雨の日はいつも勉強をする」この文章の否定を作れ。
    -
    雨の日で勉強をしない日がある。
    まず、この文章は「雨の日である ⇒ 勉強をする」という意味である。そして「 P ⇒ Q 」の否定は「 P かつ ャQ 」である。
  2. 「任意の素数は奇数である」という命題について以下の問いに答えよ。
    1. (1) この命題の真偽を判定し、そのことを証明せよ。
    2. (2) この命題の否定をつくれ。
    -
    1. (1) 偽である。なぜなら 2 は素数であって、かつ偶数である。
    2. (2) 素数でありかつ偶数である数が存在する。
  3. 「任意の二等辺三角形の両底角は等しい」という命題につい・以下の問いに答えよ。 (「三角形 ABC において、 AB = AC ならば ∠B = ∠C である」という意味である。)
    1. (1) この命題の真偽を判定し、そのことを証明せよ。
    2. (2) この命題の否定をつくれ。
    -
    1. (1)真である。
    2. (2)底角が等しくない二等辺三角形が存在する。
  4. n が偶数ならば n2 も偶数である」という命題について以下の問いに答えよ。
    1. (1)この命題の真偽を判定せよ。
    2. (2)この命題の否定をつくれ。
    -
    1. (1)真である。
    2. (2) n が偶数でかつ n2 が奇数である (偶数でない) ものが存在する。
  5. 以下の命題の否定を作れ。
    1. (1) 任意の正則行列に対して、行列式の値は 0 ではない。
    2. (2) a < b なる有理数 a , b に対して、有理数 q が存在して、 a < q < b となる (有理数の稠密性)。
    3. (3) ある複素数 x が存在して、 x2 = - 1 である。
    4. (4) 有限次元ベクトル空間の間の任意の線形写像は行列で表すことができる。
    5. (5) 任意の 1 より大きい実数 p に対して ∑∞ 1--n=1 np は収束する。
    6. (6) ある数列 am,n が存在して mlim→∞ nli→m∞ am,n = lnim→∞ mli→m∞ am,n となる。
    -
    1. (1) ある正則行列が存在して、その行列式の値は 0 である。 (行列式の値が 0 であるような正則行列が存在する。)
    2. (2) a < b である有理数 a , b が存在して、任意の有理数 q に対して、 a ≥ q または q ≥ b である。
      a , b , q に関する命題「 a < q < b 」は「 a < q かつ q < b 」ということである。
    3. (3) 任意の複素数に対して、 x2 ⁄= - 1 である。
    4. (4) ある有限次元ベクトル空間の間の線形写像が存在して、それは行列で表すことができない。 (行列で表すことができない有限 次元ベクトル空間の間の線形写像が存在する。)
    5. (5) 1 より大きい実数 p が存在して ∑∞ 1-- npn=1 は収束しない (発散する)。
    6. (6) 任意の数列 am,n に対して、 mli→m∞nl→im∞ am,n ⁄= nli→m∞mlim→∞ am,n となる。
  6. 真理表を使って以下のことを示せ。
    1. (1) 命題 P に対して「 ャ (ャP ) ⇐ ⇒ P 」である。 (二重否定)
    2. (2) 命題 P , Q に対して「 ャ (P ∧ Q) ⇐⇒ (ャP)∨ (ャQ ) 」である。 (De Morgan の法則)
    3. (3) 命題 P ⇒ Q はその対偶 (ャQ ) ⇒ (ャP ) と同値である。
    4. (4) 命題 P , Q , R に対して、「 P ⇒ Q かつ Q ⇒ R 」が成り立つとき、「 P ⇒ R 」が成り立つ。 (三段論法)
    5. (5) 命題 A , B , C に対して、 (A ∧ B )∨C ⇐ ⇒ (A ∨ C )∧(B ∨ C) である。
    6. (6) 命題 A , B , C に対して、 (A ∨ B )∧C ⇐ ⇒ (A ∧ C )∨(B ∧ C) である。
    -

    二つの命題が同値であることをいうには、真理表における対応する列が等しいことを確認すればよい。

    1. (1)
      table1
    2. (2)
      table2
    3. (3)
      table3
    4. (4)
      table4
    5. (5)
      table5
    6. (6)
      table6
  7. 以下の命題を記号 ( ∀ , ∃ ) をつかって書け。またその否定をつくれ。
    1. (1) 任意の実数に対して、その絶対値は 0 以上である。
    2. (2) 0 以上の任意の実数 y に対して f(x) = y となるような 10 より大きい実数 x が存在する。
    3. (3) 任意の正の実数 ε に対して「 n ≥ N ならば |an - α| < ε 」となる自然数 N が存在する。 (数列 an α に収束する)
    -
    1. (1) ∀ x ∈ ℝ , |x| ≥ 0
      否定は ∃ x ∈ ℝ , |x| < 0
    2. (2) ∀y ≥ 0, ∃x > 10 , f(x) = y
      否定は ∃y ≥ 0 , ∀x > 10 , f(x) ⁄= y
      (ある 0 以上の実数 y が存在して、任意の 10 より大きい実数 x に対して f(x) ⁄= y となる。)
    3. (3) ∀ϵ > 0, ∃N ∈ ℕ, ∀n ∈ ℕ, (n ≥ N ⇒ |an - α| < ϵ)
      否定は ∃ε > 0, ∀N ∈ ℕ, ∃n ∈ ℕ, (n ≥ N か つ |an - α| ≥ ε)

    否定がほしければ「 ∀ , ∃ 」をつかって命題を書き直し、 ∀ ∃ ∃ ∀ にそれぞれ書き換え、最後 の部分を否定すれば機械的に作ることができる。

  8. (P ⇒ Q)∧ ((ャP )∨ (ャQ )) が真であるとき、命題 P , Q のそれぞれについて、真か、偽か、あるは真偽が確定し ないかを判定せよ。
  9. -
    真理表を用いる。

    (P ⇒ Q )∧ ((ャP )∨ (ャQ$)) が真ということは、下の 2 行のいずれかということになる。よってこのとき P は偽で、 Q は確定しない。
  10. 数学における命題とは何かを答えよ。また、自分で命題を作ってみよ。
    -
    「真偽がはっきりと定まったこと」を命題という。

    例. 素数は無限に存在する。

  11. P , Q を命題とする。 P が真であるとき Q P ⇒ Q は同値であることを示せ。
    -
    P ⇒ Q の定義が (ャP )∨Q であることに注意する。

    Q が真であれば P ⇒ Q は真である。

    P ⇒ Q が真であるとする。このとき ャP または Q が真である。しかし P が真であることを仮定しているので ャP は偽 で、よって Q は真である。

    8 の解答例にある真理表を用いれば、 P が真という仮定から上の 2 行だけを見ればよく、そのとき Q の列と P ⇒ Q の列が一致している。

  12. 二つの命題 P , Q に対して (P ∧(ャQ ))∨((ャP )∧Q ) を排他的論理和といい P xor Q と書く。 P xor Q ⇐⇒ (P ∨Q )∧ ((ャP )∨ (ャQ)) ⇐ ⇒ (P ∨ Q) ∧(ャ(P ∧ Q)) であることを示せ。
    -
    一般に、命題 A , B , C に対して (A ∧ B )∨C ⇐ ⇒ (A∨ C )∧(B ∨ C) であることを繰り返し使っ て
    P xor Q ⇐ ⇒ (P ∧(ャQ )) ∨((ャP )∧Q ) ⇐ ⇒ ((P ∧ (ャQ))∨ (ャP )))∨ ((P ∧ (ャQ ))∨ Q ) ⇐ ⇒ ((P ∨ (ャP))∧ ((ャQ)∨ (ャP )))∧ ((P ∨ Q )∧((ャQ )∨ Q)) ⇐ ⇒ ((ャQ )∨ (ャP ))∧ (P ∨Q ) ⇐ ⇒ (P ∨ Q)∧ ((ャQ )∨ (ャP ))
    である。また (ャQ) ∨(ャP ) ⇐ ⇒ ャ (P ∧ Q) であるから
    (P ∨ Q )∧((ャQ )∨ (ャP )) ⇐⇒ (P ∨ Q)∧ (ャ(P ∧Q ))
    となる。
  13. 命題 P , Q に対して「 P ∧(P xor Q) ⇐ ⇒ P ∧(ャQ ) 」 を示せ。
    -
    一般に、命題 A , B , C に対して (A ∨ B) ∧C ⇐ ⇒ (A ∧ C) ∨(B ∧ C) であることに注意する。このと き
    P ∧ (P xor Q) ⇐⇒ P ∧ ((P ∧ (ャQ))∨ ((ャP)∧ Q )) ⇐⇒ (P ∧ (P ∧ (ャQ)))∨ (P ∧ ((ャP) ∧Q )) ⇐⇒ P ∧ (ャQ)
    である。