距離空間論 演習問題 第9回
問題 1.
距離空間
で考える。この距離空間において
の内部
と閉包
を求めよ。
解答:
授業のときの例の真似をする。答えは
である。まず
を示そう。もし元
が存在したとすると、内部 の定義より
となる
が存在する。ここで
より
であり
と書ける。 このとき
とおくと
より
となるが、
の
座標と
座標は異なるので
は
の元ではない。これは矛盾であり
となる。
次に閉包を考える。
を示せばよいが、そのためには
を示せば よい。
をとると、
である。そこで
とおくと
である。このとき
を示そう。実際
に対し
だから
である。ここで絶対値の三角不等式より
だから
となる。よって
であり
であることが示された。
問題 2.
距離空間
で考える。この距離空間において
の内部
と閉包
を求めよ。
解答:
答えは
である。
内部については、
の任意の点が
の内点であることを示せばよいが、実際
に対し
より
とおくと
であり
であることが分かる。よって
は
の内点である。
次に閉包を考えるために外部について
を示す。
に対し
となる
が存在する。このとき
か
のどちらかであるが、
のとき
とおくと
でありよって
、つまり
となる。よって
となる。
の場合、同様に
が示される。よって
が示され
が分かった。
逆の包含関係を示すために
をとると、
だから
とおくと
となり
となる。よって
である。
の場合も同様であり
が示される。
問題 3.
距離空間
で考える。この距離空間において
の内部
と閉包
を求めよ。
解答:
答えは
である。
は問題 1 と同様に背理法で示される。閉包については、やはり補集合をとり
を示す。これは問題 2 と同様である。詳細は省略。
問題 4.
離散距離空間
において次を示せ:
解答:
まず離散距離空間の定義から、任意の
に対し
であ り
であることが分かる。また
であるから
である。よって
を示せばよい。一般に
だから逆の包含関係を 示せばよい。
をとると、触点の定義より、任意の
に対 し
であるが、特に
ととると
であり、
となる。よって
であり
が示された。
問題 5.
離散距離空間
においては, 全ての部分集合が開集合であることを示せ。
解答:
を
の部分集合とする。任意の
が
の内点であることを示せば よいが、これは
であることから分かる。
問題 6.
,
に対し, 関数
の増減を調べることにより,
,
,
のとき次が成り立 つことを示せ:
解答:
まず
より
などの関係があることに注意する。
のときは、証明すべき不等式は自明だから
とする。証明すべき不等式の両辺を
で割ると
となる。ここで
だから、結局
と
に対し
を示せばよい。
は
に関し微分可能だから微分すると
となる。
より、
の範囲では
は
で極小値を持つのみ。と ころが
である。よって任意の
に対し
が示された。
問題 7.
,
とする。
に対し
とおき,
と
に対し上の問題の不等式を用いることにより
が成り立つことを示せ。
解答:
これは問題の指示通りに計算するだけなので省略。
問題 8.
とする。
に対し
と変形し, 上の問題の不等式を用いることにより
が成り立つことを示せ。
解答:
これも問題の指示通りに計算するだけなので省略。
問題 9.
とする。上の問題を用いて
上で
が距離関数になることを確かめよ。
解答:
三角不等式以外は簡単なので省略。三角不等式については、まず絶対値の三角不等式より
が成り立つ。よって、まず
が分かる。ここで
とおき、問題 8 の不等式を用いると
となり、三角不等式が示される。