距離空間論 演習問題 第7回

  1. 問題 1.

    写像
    f : ℝm -→ ℝn n pg : ℝ -→ ℝ
    A ⊂ ℝp に対し
    (g ∘f)-1(A) = f -1(g-1(A ))
    であることを確かめよ。

    解答:

    二つの集合が等しいことを示すのだから
    x ∈ (g ∘f)-1(A) ⇐ ⇒ x ∈ f-1(g-1(A))
    を示せばよい。これには、逆像と写像の合成の定義を用いるだけ:
    x ∈ (g∘ f)-1(A ) ⇐ ⇒ (g∘f)(x) ∈ A ⇐ ⇒ g(f(x)) ∈ A ⇐ ⇒ f(x) ∈ g-1(A) ⇐ ⇒ x ∈ f- 1(g-1(A))
  2. 問題 2.

    写像
    r : [0,∞ ) -→ ℝ
     √ --r(x) = x で定義する。
    1. (a) a,b > 0 に対し √-2---2 a + b < a+ b を示せ。
    2. (b) 任意の ε > 0 に対し δ = ε2 とおく。任意の a ∈ [0,∞) に対し
      r(U(a;δ)∩[0,∞ )) ⊂ U(r(a);ε)
      であることを確かめることにより、 r が一様連続であることを示せ。

    解答:

    1. (a)これは (b) のためのヒントなので省略。
    2. (b) δ = ε2 とおくと、任意の a ∈ [0,∞ ) に対し
      x ∈ U (a;δ) =⇒ a - ε2 < x < a+ ε2
      よって(a)を用いて
      x ∈ U (a;δ)∩ [0,∞ ) =⇒ max{0,a - ε2} ≤ x < a + ε2 ∘ ----------2-- √-- ∘ ----2- =⇒ √-max{√0,a - ε } ≤ x < a+ ε =⇒ x < a+ ε
      を得る。同様に
      √a-- ε < √x-
      が示され
      x ∈ U (a;δ)∩ [0,∞ ) = ⇒ r(x) ∈ U(r(a);ε)
      が分かる。よって
      r(U(a;δ)∩[0,∞ )) ⊂ U(r(a);ε)
      であり、 ε a に無関係であるから一様連続である。
  3. 問題 3.

    写像
    s : ℝ -→ ℝ
    s(x) = x2 で定義すると一様連続ではないことを示せ。

    解答:

    背理法で示す。 s が一様連続であると仮定すると、任意の ε > 0 に対し ∃δ > 0 s.t. 任意の a ∈ ℝ に対し
    s(U (a;δ)) ⊂ U (a2;ε)
    が成り立つ。 ε は任意だから ε = 1 と取る。このとき、任意の a ∈ ℝ に対 し
    - δ < x - a < δ =⇒ - 1 < x2 - a2 < 1
    が成り立つ δ が存在するはずである。 そこで nδ > 1 となる自然数 n をとり a = n とする。また x = a+ -δ 2 とす ると
    - δ < x- a < δ
    が成り立っている。ところが
    x2 - a2 = (n + δ2)2 - n2 δ2 = nδ + 4 > nδ > 1
    であり x2 - a2 < 1 に矛盾。
    よって s は一様連続ではない。
  4. 問題 4.

    連続写像
    f : ℝn -→ ℝ ng : ℝ -→ ℝ
    と定数 c ∈ ℝ に対し
    h(x) = f(x)+ g(x)k(x) = cf(x)ℓ(x) = f(x)g(x)
    で定義される写像
    h : ℝn -→ ℝ nk : ℝ -→ ℝℓ : ℝn -→ ℝ
    は全て連続であることを示せ。

    解答:

    h の場合: a ∈ ℝn をとり h x = a で連続であることを示す。 f g の連続 性より、任意の ε > 0 に対し
     εf(U(a;δ1)) ⊂ U (f (a);2)g(U(a;δ2)) ⊂ U (g(a); ε) 2
    となる δ1,δ2 > 0 が存在する。このとき
    δ = min{δ1,δ2}
    とおくと
    x ∈ U(a;δ) =⇒ d(x,a) < δ ( { d(f(x ),f(a)) < ε2 =⇒ ( d(g(x),g(a)) < ε 2
    よって x ∈ U (a;δ) に対し
    d(h(x),h (a)) = ∥f(x)+ g(x)- f(a)- g(a)∥ ≤ ∥f(x)- f(a)∥+ |g(x)- g(a)| < ε2 + ε2 = ε
    である。これで h が連続であることが示された。
    k の場合: まず c ⁄= 0 の場合を考える。 f の連続性より、任意の ε に対し
    f(U(a;δ)) ⊂ U(f(a); ε-) |c|
    となる δ が存在する。このとき
    x ∈ U (a;δ) =⇒ ∥f(x)- f(a)∥ < ε|c| ε- =⇒ ∥cf(x) - cf (a)∥ < |c||c| = ε =⇒ h(x) ∈ U(h(a);ε)
    であり、 h x = a で連続になる。
    c = 0 の場合、 h
    h(x) = 0
    となる定値写像であり、常に
    ∥h(x)- h(a)∥ = 0 < ε
    となる。よってどんな δ をとってもよく、連続になる。
    ℓ の場合: 任意の ε > 0 に対し
     ∘ ------------------- ′ - |f(a)|--|g(a)|+--(|f(a)|+-|g(a)|)2 +-4εε = 2
    とおく。 f g の連続性から
    f(U (a;δ)) ⊂ U (f(a);ε′) 1g(U (a;δ2)) ⊂ U (g(a);ε′)
    となる δ1,δ2 > 0 が存在する。このとき δ = min{δ1,δ2} とおくと x ∈ U (a;δ) に 対し
    |ℓ(x) - ℓ(a)| = |f(x)(g(x)- g(a))+ g(a)(f(x)- f(a))| ≤ |f(x)||g(x)- g(a)|+ |g(a)||f(x)- f(a)| ′ ′ ′ < (|f(a)|+ ε )ε + |g(a)|ε = (ε′)2 + (|f(a)|+ |g(a)|)ε′ = ε
    となる。よって
    ℓ(U (a;δ)) ⊂ U(ℓ(a);ε)
    となる。