距離空間論 演習問題 第6回

  1. 問題 1.

    次の ℝ の部分集合の集積点は何か?また孤立点は何か?(答えだけでよい)
    1. (a) A4 = {1n | n ∈ ℕ} ⊂ ℝ
    2. (b)  { n( 1)|| }B = (- 1) 1 - n n ∈ ℕ
    3. (c) ℚ

    解答:

    集積点を求めるには、閉包を考えるか収束する点列を探すかすればよい。孤立点はその集合の元を個別に調べればよい。
    1. (a)集積点は 0 。孤立点 A4 の点全て。
    2. (b)集積点は - 1 1 。孤立点は B の点全て。
    3. (c)集積点は ℝ の点全て。孤立点は無し。
      ∵ ) 集積点ならば触点である。5月1 日の演習問題8より閉包は
      -- ∘ fℚ = ℚ ∪ℚ = ∅ ∪ℝ = ℝ
      である。この中から集積点を見付ければよい。全ての r ∈ ℝ が集積点で あることを示そう。教科書 p.34 定理 1.4 より、任意の自然数 n ∈ ℕ に対し
       1r < an < r +-- n
      となる有理数 a ∈ ℚ n が存在する。このとき {a } ⊂ ℚ n n∈ℕ であり
       lim a = rn→∞ n
      だから、 r ℚ の集積点である。よって ℝ の元は全て ℚ の集積点。 以上のことから、 ℚ の元は全て集積点になってしまうので孤立点はない。
  2. 問題:

    ℝ の部分集合として, ℤ の全ての点は孤立点であることを示せ。

    解答:

    任意の n ∈ ℤ に対し ε = 1 ととれば
    U(n,ε)∩ ℤ = {n}
    となる。よって全ての ℤ の点は孤立点。
  3. 問題 3.

    A ℝn の有限個から成る部分集合なら A の点は全て孤立点であることを 示せ。

    解答:

    A の濃度を n として
    A = {a1,⋅⋅⋅ ,an}
    とおく。 ai ∈ A に対し
    εi = min{d(ai,aj) | j ⁄= i,1 ≤ j ≤ n }
    とおくと、 εi > 0 であり
    U(ai,εi)∩ A = {ai}
    である。よって a i は孤立点である。
  4. 問題 4.

    写像
     2f : ℝ -→ ℝ
    f(x,y) = x
    で定義するとき, この写像について次の問に答えよ:
    1. (a)  2a = (a1,a2) ∈ ℝ δ > 0 に対し, 集合 f(U (a;δ)) を求めよ。
    2. (b) f は連続であることを示せ。

    解答:

    1. (a)定義より
      f(U(a;δ)) = {f (x ) | x ∈ U(a;δ)} = {f (x ) | ∥x - a ∥ < δ} = {f (x ,x ) | (x - a )2 + (x - a )2 < δ2} 1 2 1 1 2 2 = {x1 | (x1 - a1)2 + (x2 - a2)2 < δ2}
      である。ここで (x2 - a2)2 ≥ 0 より
      (x1 - a1)2 < δ2
      であり
      - δ < x1 - a1 < δ
      よって
      f(U(a;δ)) = (a1 - δ,a1 + δ) = U (a1;δ) = U (f (a);δ)
      である。
    2. (b)  2a ∈ ℝ をとる。任意の ε > 0 に対し
      δ = ε
      とおく。すると(a)より
      f (U (a;δ)) = f(U (a;ε)) = U(f(a);ε)
      より
      f(U(a;δ)) ⊂ U (f(a);ε)
      となり f は点 a で連続である。 a は任意だったから f は連続である。
  5. 問題 5.

    写像
    g : ℝ -→ ℝ
     2g(x) = x
    で定義するとき, この写像について次の問に答えよ:
    1. (a) a ∈ ℝ δ > 0 に対し, 集合 g(U(a;δ)) を求めよ。
      (ヒント: 場合分けが必要)
    2. (b) g は連続であることを示せ。

    解答:

    g(x) = x2 が連続であることを示すだけなら g(U(a;δ)) を求める必要はない。練習のために (a) を設けた。
    1. (a)定義より
      g(U (a;δ)) = {g(x) | x ∈ U(a;δ)} 2 = {x | |x - a| < δ} = {x2 | a- δ < x < a+ δ} (| 2 2 ||{ {y | (a- δ) < y < (a+ δ) }, a - δ > 0 = {y | (a+ δ)2 < y < (a- δ)2}, a +δ < 0 |||( 2 2 {y | 0 ≤ y < max {(a+ δ),(a- δ) }}, そ の 他
      である。
    2. (b) a ∈ ℝ をとる。 a > 0 a = 0 a < 0 の三つの場合があるが、 a > 0 a < 0 の場合は同様なので、まず、 a > 0 の場合について考える。任意の ε > 0 に対し
      δ = min{∘a2-+ε-- a,a- ∘a2---ε}
      とおく。ここで ε は十分小さいと仮定してよいので、 a2 - ε > 0 と仮定する。 このとき
       2 2 a - ε ≤ (a - δ)(a + δ)2 ≤ a2 + ε
      であるから、(a) の結果より
      g(U (a;δ)) ⊂ U (a2;ε) = U(f(a);ε)
      となる。
      a = 0 のときは  √ -δ = ε ととればよい。
  6. 問題 6.

    写像
    h : ℝ2 - → ℝ
    h(x,y) = x +y
    で定義するとき, この写像について次の問に答えよ:
    1. (a) a = (a1,a2) ∈ ℝ2 δ > 0 に対し, 集合 h(U (a;δ)) を求めよ。
    2. (b) 任意の ε > 0 に対し h(U(a;δ)) ⊂ U (h(a);ε) となる δ が存在すること を示せ。

    解答:

    1. (a)定義より
      h(U (a;δ)) = {h(x) | x ∈ U (a;δ)} = {x1 + x2 | (x1 - a1)2 + (x2 - a2)2 < δ2}
      ここで、条件  2 2 2(x1 - a1) +(x2 - a2) < δ の元での x1 + x2 の最大値最小値は、それぞれ  √ -a1 + a2 + 2δ  √ -a1 + a2 - 2δ であることが分かる。(例えば相加相乗平均の公式)よって
       √-h(U(a;δ)) = U(h(a); 2δ)
      であることが分かる。
    2. (b)任意の ε に対し δ = √ε2- ととればよい。