距離空間論 演習問題 第5回

  1. 問題 1.

    次の ℝ の部分集合の中から開集合と閉集合を選べ (答だけでよい):
    A2 = [a,∞ ), A4 = {1n | n ∈ ℕ},A6 = [1,2]∪ [4,5], A8 = [2,5]∪ {7},A = ℝ- ℤ, A = {--1- | x ∈ ℝ} 9 14 x2+1

    解答:

    それぞれの集合について調べると以下の通り:
    開集合閉集合
    A 2 ×
     1 1A4 = {1, 2,3,⋅⋅⋅} × ×
    A6 ×
    A8 ×
    A = ⋃ (- n,- n + 1) 9 n∈ℤ ×
    A14 = (0,1] × ×
  2. 問題 2.

     nA ⊂ ℝ に対し次を示せ:
     e n --A = ℝ - A

    解答:

    内部、外部、境界について
     n ∘ f eℝ = A ∪ A ∪ A
    であり
    A∘ ∩ Af = ∅Af ∩Ae = ∅Ae ∩A ∘ = ∅
    である。よって
    ℝn - A- = A∘ ∪ Af ∪ Ae - A ∘ ∪ Af ∘ f e ∘ ∘ f e f = (A ∪ A ∪A - A )∩ (A ∪ A ∪ A - A )
    ここで
    A ∘ ∪ Af ∪Ae - A∘ = (A ∘ - A∘)∪ (Af - Af ∩ A ∘) ∪(Ae - Ae ∩ A∘) = ∅∪ Af ∪Ae = Af ∪ Ae
    である。同様に
     ∘ f e f ∘ eA ∪ A ∪ A - A = A ∪ A
    であり、よって
     --ℝn - A = (Af ∪ Ae)∩ (A∘ ∪Ae ) e = A
    となる。
  3. 問題 3.

    A,B ⊂ ℝn に対し次を示せ:
    ------ -- --A ∩B ⊂ A∩ B
    また ------ -- --A ∩B ⁄= A ∩ B である例を挙げよ。

    解答:

    まず一般に
     -- --X ⊂ Y =⇒ X ⊂ Y
    が成り立つから
    A-∩-B- ⊂ A------- --A ∩ B ⊂ B
    である。よって
    ------ -- --A ∩B ⊂ A∩ B
    である。
    例としては n = 1 のときの
    A = (0,1)B = (1,2)
    が分かりやすい。このとき
    A∩-B--= ∅ = ∅-- --A∩ B = [0,1]∩ [1,2] = {1}
    である。
    一般の  nℝ でも例を作ることができる。
  4. 問題 4.

     na ∈ ℝ に対し一点から成る集合 {a} の閉包は何か? (答だけでなく証明もす ること)

    解答:

    答えは
    ---{a} = {a}
    である。証明は以下の通り: まず一般に
     --A ⊂ A
    であるから
    {a} ⊂ {a}
    を示せばよい。  ---x ∈ {a} を取ると、 ∀ε > 0 に対し
    U (x;ε)∩ {a} ⁄= ∅
    である。ところが
    U (x;ε)∩ {a} ⊂ {a}
    だから、これが空集合でないとすると
    U (x;ε)∩ {a} = {a}
    である。これは ∀ ε > 0 に対し
    ∥x - a∥ < ε
    であることを意味する。よって実数の性質より
    ∥x - a∥ = 0
    となり、 x = a となる。つまり
     ---x ∈ {a} =⇒ x ∈ {a}
    が示された。
  5. 問題 5.

    A4 = {1n | n ∈ ℕ } の閉包は何か? (答だけでなく証明もすること)

    解答:

    答えは
    ---A4 = A4 ∪{0}
    である。証明は以下の通り:
     ---A4 ⊂ A4
    であり、また ∀ > ε に対し ∃n ∈ N s.t.
     10 < n-< ε
    である。つまり
    U (0;ε) ∩A4 ⁄= ∅
    であり  ---0 ∈ A4 である。
    逆に A4 ∪ {0} 以外の点が A4 の触点でないことを示す。 x ⁄∈ A4 ∪ {0} には次の三つの場合がある:
    1. (a) x < 0
    2. (b) 1n < x < n1-1
    3. (c) 1 < x
    それぞれ
    ε = 1|x| 2ε = 1 min{x- -1,-1---- x} 2 n n- 1ε = 1(x - 1) 2
    とおけば
    U (x;ε) ∩A4 = ∅
    となるので、これらの点は触点ではない。
  6. 問題 6:

    次の集合が ℝ2 の開集合であることを示せ:
    {(x,y) ∈ ℝ2 | y > x}

    解答:

    5/10 の問題 6 より
    {(x,y) ∈ ℝ2 | y > x}∘ = {(x,y) ∈ ℝ2 | y > x}
    である。よって開集合。
  7. 問題 7.

    次の集合が  2ℝ の閉集合であることを示せ:
     2{(x,y) ∈ ℝ | y = x}

    解答:

    一般に  nA ⊂ ℝ に対し
    A :閉集合  ⇐ ⇒ ℝn - A : 開集合
    である。問題 6 より
    {(x,y) ∈ ℝ2 | y > x}
    は開集合であり、同様に
     2{(x,y) ∈ ℝ | y < x}
    も開集合である。よってその和集合
    {(x,y) ∈ ℝ2 | y > x} ∪{(x,y) ∈ ℝ2 | y < x}
    も開集合であり、その補集合
     2 2 ( 2 2 ){(x,y) ∈ ℝ | y = x} = ℝ - {(x,y) ∈ ℝ | y > x} ∪{(x,y) ∈ ℝ | y < x }
    は閉集合である。
  8. 問題 8.

    A,B ⊂ ℝn が開集合のとき A ∩B も開集合であることを示せ。

    解答:

    一般に
    (A∩ B )∘ = A∘ ∩B ∘
    である。ここで A B が開集合ならば
     ∘A = AB∘ = B
    であり
    (A ∩ B )∘ = A ∩B
    となる。よって A ∩ B は開集合である。
  9. 問題 9.

     nA,B ⊂ ℝ が閉集合のとき A ∪B も閉集合であることを示せ。

    解答:

    等式
    ------ -- --A ∪B = A∪ B
    を使えば、問題 8と同様である。