危険の防止

化学分析実験など実験・実習を効果的に、かつ安全におこなうためには、 基本的なことを知識として学ぶとともに、以下のことがらに注意を払う必要がある。

  1. 実験・実習にのぞむ態度。 実験・実習は真剣な態度で行い、うわつかず、はしゃがないこと。 授業時間が始まっても、休み時間の気分でいつまでもはしゃいでいると、教員の注意も聞き漏らし、事故の原因となる。 (実習の際はしゃぐことは、野外実習においてよく見られる。 以前、野外実習の帰りに林道を車で下るとき、蛾が車内にはいってきたため騒ぎがおこり、 運転手が気をとられて運転をあやまり、林道から転落した事故があった。)

  2. 身支度を整えること。化学分析実験の際、白衣を必ずきること。 白衣を着用することは、危険な薬品から体を保護するという実利面だけでなく、 今は実験に携わっているという気持ちにするためにも、必要なことである。 しかし、装置の調整・修理を必要とする物理実験では、白衣よりもむしろジャンパーのような動きやすい服装の方がよい。

  3. 起こりうる危険性を常に考えて、何をしてはいけないか、理解しておく。
    1. 薬品を調合して溶液をつくり、それをビンにいれて貯えるが、そのビンには何も書かずに放置するものがいる。 その学生は卒業していく。そうすると、第三者には、ビンの内容物が何なのかわからず、処理できなくなる。
    2. 薬品の容器を、前とは別の容器に移し替えてはいけない。 農薬を希釈して、その希釈溶液をジュースのビンにいれ、それを子供がジュースと思ってのんでしまう、という事故があとをたたない。
    3. 気密の実験室において、液体窒素やドライアイスを使用してはならない。それらが気化して酸欠となる。
    4. 一つのコンセントに多数のプラグをつなぐたこ足配線をしてはならない。 また、機器が作動中で負荷をかけたまま、プラグをコンセントから引き抜いてはいけない。
    5. 高速で回転する機械、例えば遠心分離機、ダイアモンド切断機などは、扱いを誤ると巻き込まれるので、非常に危険である。
  4. 使用する薬品の性質をMSDS(Material Safety Data Sheet、化学物質安全データシート)などで調べ、知識を豊富にしておくこと。 MSDSは薬品会社のホームページにアクセスすると得ることができる。 薬品に関する知識を豊富にすることが、化学実験における事故を未然に防ぐためのキーポイントである。

参考読本として、兵頭申一著「科学実験法」1997、(放送大学教材)の「10章危険の防止」を添付したので、一読していただきたい。