状態分析、酸化還元滴定

状態分析とは

物質の存在状態をしらべる化学分析を、状態分析という。 例えば、試料中に、Feが単体として(金属鉄、Fe)存在しているのか、 珪酸塩(例えばFeSiO3)や酸化物として(例えばFe3O4) 存在しているのか、硫化物(例えばFeS2)として存在しているのか、 を調べることは状態分析の一つである。 今回は、Feを酸化状態(二価、三価)によって分け、二価鉄のみを酸化還元滴定により定量する原理と方法を学ぶ。

酸化還元滴定の原理

酸化還元反応を利用した滴定を酸化還元滴定という。 酸化還元反応(redox reaction)においては、酸化剤(oxidizing agent)は他の物質から電子をとりそれ自身は還元され、 還元剤(reducing agent)は電子を他の物質に与えて自身は酸化される。 たとえば硫酸鉄(Ⅱ)溶液を硫酸酸性のもとで過マンガン酸カリウムで滴定する場合には次の反応が起る。

10FeSO4+8H2SO4+2KMnO4→K2SO4+2MnSO4+5Fe2(SO43+8H2O

この場合Fe(II)イオンは次のように酸化される。

Fe2-e → Fe3

過マンガン酸イオンは次のように還元される。

MnO4+8H+5e → Mn2+4H2O

以上のように酸化還元反応にさいしては電子の授受が行われる。 (電子1個の授受に対応する酸化剤、元剤の量をおのおのの1当量という。 たとえば上の反応において硫酸鉄(Ⅱ)1モルは1グラム当量であり、過マンガン酸カリウム1モルは5グラム当量である。) このように酸化剤と還元剤は当量ずつ反応するから、反応の終点を適当な方法で見分けられれば、 滴定によって酸化剤、還元剤の濃度を求めることができる。 上の反応の場合においては、滴定によりFe2がゼロになったときは、 過マンガン酸イオンによる着色(無色→ピンク色)が生こることによって見分けることができる。

0.02M (0.1N) 過マンガン酸カリウムKMnO4溶液の作製法 (KMnO4 1モル=158.04g)

特級KMnO43.2gを、純水1000 mlでメスフラスコ中に溶かす。 一昼夜暗所に保管する。上ずみ液をガラスフィルターと吸引瓶を用いてろ過した後、ろ液を褐色瓶に入れて暗所に保存する。

標定

滴定に用いる溶液を使って含有量既知の試料を分析することにより、その滴定に用いる溶液の濃度を正確に定める手続きを、標定という。 滴定の際には、前もって標定しておく必要がある。

実験法

しゅう酸ナトリウムによるKMnO4液の標定法

しゅう酸ナトリウムNa2C204約0.5gを白金皿にとり、 100℃の恒温槽中で乾燥させた後、デシケータ中で冷却させる。 そのうち、0.3gを白金皿上で正確に秤量し、少量の水でとかす。それを200mlのメスフラスコにうつす。 最後、水で200mlに調節する。 それから20mlをホールピペットで分取し、300mlビーカーにいれる。湯を加え約100mlにする。

1:1H2SO4 約10mlをそれに加え、あたたかいうちに0.02M KMnO4溶液で滴定する。 滴下すぐにピンク色に着色するが、電気コンロ上で加熱しながらガラス棒でよく攪拌する。 そうすると、ピンク色が消える。そのあと、滴定を続ける。終点は、液がピンク色に着色して30秒以上消えないとき。

KMnO4溶液のモル濃度(M) = 2.9848×(W/V0

W: Na2C2O4 の 物質量 (g)

V0: KMnO4 の使用量 (ml)

課題

各自、KMnO4溶液の標定を、1回ずつおこなうこと。

標定して求めたKMnO4溶液のモル濃度を求めよ。(有効数字3桁の数値として)