原子吸光分析

原理

気体状態の原子に光を照射すると、その原子に固有な波長の光が吸収され、基底状態にある原子は励起される。 この現象を原子吸光とよび、励起状態にある原子が基底状態に遷移するときに光を放つ原子発光の、逆の現象である。 吸収の強さは原子の数に依存するので、未知試料の吸光度を測定し標準試料のそれと比較することにより、定量分析が可能となる。 この分析法を原子吸光分析とよぶ。原子吸光分析は、微量の金属イオンの定量分析に威力を発揮する。

実験

菱マンガン鉱(MnCO3)中のMnの原子吸光分析

課題

(A)、(B)の結果求めよ。

実験2

過マンガン酸カリ(KMn7+O4)のMnの原子吸光分析

課題

(C) と(D)の結果を求めよ。

Mn標準試料溶液の作成法

  1. 市販の1mg Mn/1ml原子吸光分析用Mn標準液(1000ppm)をホールピペットで10ml 取り、200m1メスフラスコ中にいれる。 この溶液のMnの濃度は(    )ppmである。

  2. メスフラスコにH2Oを加え、200mlに合わせる。

    この溶液のMnの濃度は(    )ppmである。
  3. 50mlのメスフラスコ4本、100mlのメスフラスコ2本、および5mlと10mlのホールピペット1本づつを用意する。 上の溶液から、0、5、10、15、20mlをホールピペットで取り、それぞれを下の表のように、50mlまたは100mlのメスフラスコにいれる。 最後にH2Oで50ml または100mlに調節すると下記の濃度となる。

    (1ppm = 100万分の1 or 10-6 = 1×10-6g/1g)

いれる量 メスフラスコ 濃度
0 ml 50ml 0 ppm (blank)
5 ml 100ml ppm
10 ml 100ml ppm
10 ml 50ml ppm
15 ml 50ml ppm
20 ml 50ml ppm

MnやFeを原子吸光分析する際には、溶液中の共存元素の妨害はない。 しかし、ほかの元素の場合、その存在が、分析目的元素の吸光度に影響を与える。 この現象を、干渉という。干渉の効果を消すために、分析溶液にSrやLaなどの干渉抑制剤をくわえるのが普通である。 また、標準試料と未知試料とで、酸の濃度を等しくする必要がある。