試料を溶液にして、適当な物質を加えて、その物質固有の色に発色させる。 発色した溶液を、セルとよばれる柱状の容器にいれ、そこに可視光を通過させ、 試料溶液中の目的物質による特定波長の吸収(吸光)度を測定する。 未知試料とは別に、目的物質の濃度が既知でかつ濃度の異なった数個の標準試料を用意し、 未知試料と同様に発色させ、吸光度を測定する。 その結果を、吸光度対目的物質濃度図上に線として表しておく。これを検量線という。 求められた検量線を用いて、未知試料の吸光度から、未知試料に含まれる目的物質の濃度を求める。 昔は、発色した溶液の色の濃さを、肉眼で標準試料の濃さと比較したので、比色法と呼ばれた。
試料 Brazil, Minas Gerais 産チタン石。
Ca, Ti, Si, Oの原子量は
Ca : 40.08、Ti : 47.87、Si : 28.09、 O : 16.00
TiO2の分子量は ( ) 、TiO21モルは ( )g
CaTiSiO5の分子量は ( ) 、CaTiSiO51モルは ( )g
したがって、チタン石中のTiO2の重量パーセントは ( )% (A)
チタン石はH2SO4によって分解される(Deer, Howie, Zussman, 1982)。 (HF+ H2SO4による分解が完全であるが、乾固させHFを除くのに時間がかかるので、 今回はH2SO4のみで分解させる。)
秤量した試料を白金ルツボにいれ、濃硫酸10mlを加える。 ドラフト中に、三角架をつけたスタンドとガスガスバーナーをセットし、 試料のはいった白金ルツボを三角架にのせ、弱炎で加熱する。 硫酸が沸騰し、硫酸の白煙がではじめてからさらに10分間加熱する。そののち放冷する。
100mlビーカーに純水を30ml位いれておき、白金るつぼ中の硫酸溶液をビーカーにいれる。 白金るつぼ内部を純水で洗いながら、洗液をすべてビーカーにいれる。総量を60mlくらいに抑える。
100mlメスフラスコを用意する(内部はぬれていてよい)。 100mlビーカー中の試料溶液を、100mlメスフラスコに移す。100mlビーカーを純水で洗い、洗液をすべてメスフラスコにいれる。 最後に純水を加え、100mlに調節する。
20mlホールピペット1本(内部は乾いていること)、100mlメスフラスコ2本(内部はぬれていてよい)を用意する。 20mlホールピペットを用いて合計40mlを、100mlメスフラスコ中にいれる(一つの班用)。 もう一つの100mlメスフラスコ中にも40mlいれる(別の班用)。
100mlメスフラスコ中に、H3PO4(燐酸)2ml、 3%H2O2水 5mlをこの順に加える。溶液は黄色に発色する。 H2Oを加え、容積を100mlに合わせる。
標準試料溶液を作成するため、Ti標準液原液を、それぞれ必要な量メスフラスコに分取する。(希釈法は、後述)。 液の容積に関して未調節の、この標準試料液の入ったメスフラスコに、 1:1H2SO4 10ml (液の総量が100mlの場合)を加え、 次に駒込ピペットを用いてH3PO4(燐酸)2ml、 メートルグラスを用いて3%H2O2水 5mlをこの順に加える。 溶液は黄色に発色する。 H2Oを加え、液の容積を100mlに合わせる。
分光光度計を用い、標準試料及び未知試料の吸光度を測定する。Tiの場合、410nmで測定する。 Ti-H2O2錯体はきわめて安定なため、発色したあと2-3日は吸光度の変化がないが、 他の物質の場合、普通は時間の経過とともに退色するため、発色後一定時間おいた後すみやかに測定する。
グラフ用紙に、横軸に標準試料の濃度(Ti ppm)、縦軸に吸光度をとり、測定データを落とし、検量線(直線のはず)をえがく。 未知試料の吸光度から、その溶液のTi濃度を求めよ。
Ti濃度 =( ) ppm (小数点以下一桁まで)
100mlメスフラスコに入っている、Ti総量=( )g
溶液中のTi4+イオンが、TiO2として存在しているとみなすと
100mlメスフラスコに入っている、TiO2総量=( )g
この100mlメスフラスコに入っている溶液は、試料を分解し、それをまず100mlの溶液にし、 それから40mlを分取した液を、希釈し発色させて100mlに調節したものである。 したがって、試料中のTiO2総量 =100mlメスフラスコ中のTiO2総量×(100/40)
(A)、(B)のデータを求めよ。
0 ml | 0 ppm (blank) |
10 ml | ppm |
20 ml | ppm |
40 ml | ppm |
60 ml | ppm |
注)標準試料溶液を作成するとき、加えた試薬の濃度が、未知試料と標準試料とで同じになるようにする。 例えば、標準試料の量を200mlとした場合(低濃度の標準試料を作る場合におこりうる)、 燐酸とH2O2の量を、100mlの標準液を作る場合の、2倍量加えなければならない。