重量分析は、分析する試料を秤量したのち溶液にとかし、沈殿などにより目的とする成分を純粋な化合物として分離し、 その重量を測ることにより、試料中の目的成分の定量をおこなう分析法である。 重量分析では、分離した沈殿の重量をはかることにより定量するので、 標準試料を必要としない直接的な分析法であり、化学分析のもっとも基礎となる方法である。 なぜなら、機器分析においては、未知試料が示すある強度を機器を用いて測定し、 濃度が既知の標準試料のそれと比較して未知試料の濃度を求める間接的な分析法であることが普通である。 そのとき、用いられる標準試料の濃度は、究極的には重量分析によって決められたはずであるからである。
硫酸バリウムBaSO4の沈殿生成を例として
BaSO4 |
|
Ba2+ + SO42- |
このとき、溶液中の[Ba2+]と[SO42-]の積が、 硫酸バリウムの溶解度積をこえると、硫酸バリウムが溶液から沈殿する。 [Ba2+]、[SO42-]は溶液中でのそれぞれの濃度を表す。
Ksp(溶解解度積)= 25℃)[Ba2+]×[SO42-] = Ksp | 溶液と沈殿が共存する。飽和溶液 |
[Ba2+]×[SO42-] >Ksp | 溶液から沈殿が生じる。 |
[Ba2+]×[SO42-] <Ksp | はじめ沈殿があれば、溶解する。 |
硫酸銅CuSO4の硫酸根(SO42-)の定量
硫酸銅五水和物(CuSO4・5H2O)は青色の結晶で、 天然では、硫化銅鉱床の二次富化酸化帯に産出する(胆ばん、chalcanthite)。
今回は、単純化のため、無水硫酸銅(試薬)を用いる。
秤量したCuSO4( )g
この中のSO42-のg数 =( )g × = ( )g ・・ (A)名称_______ 化学式_______
問2 この物質の1molは何gか。1mol = _______g
問3 (ウ)の溶液中のBa2+濃度を仮に0.016 mol/lとする。 BaSO4のKsp=1.0×10-10から、 (ウ)の、沈殿BaSO4と共存している溶液中のSO42-濃度を求めよ。
(ウ)のビーカーを、湯浴上にのせ、1時間加熱し、沈殿を熟成させる。
ロートに無灰ろ紙(No.5C、またはNo.7)をつけ、ロート台にのせ、下に500mlビーカーをおく。 まず、(ウ)のビーカーの中の上ずみ液のみをろ過する。最後に、沈殿をろ紙上にうつす。
ビーカーを少量の水でよく洗い、洗液もろ過する。 ろ紙上の沈殿に温湯を注ぎ、Cl-イオンを完全に除去する。(5~6回)
問 生成した物質の名称________と、化学式________。
ルツボを電子天秤で秤量する。 ____ g
全重量 □ - □るつぼの重量 = □沈殿のみの重量g
・・・(B)
・(A)と(B)の結果を求めよ。