環論演習14
理学部 数理・自然情報科学科 西田憲司
演習問題
問1.
環準同型
を
によって定める。次の問に答えよ。
(1)
は全射であることを示せ。
(2)
を求めよ。
(3)
はある
の剰余環と同型であることを示せ。
問 2.
を可換環とし,
とする。このとき,
であることを示せ。
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解答
問1.
(1)(証明)
任意の
に 対 し,
と お け ば,
であるから
は全射である。
(2)
であるから,
である。なぜなら,任意の
に対して,
は環準同型であるから,
逆に,
ならば,
であるから,因数定理により
は
で割り切れる。したがって,
である。よって,
(3)(証明)
準同型定理より,
であるが,
より,
であるから,
問2.
(証明)
とおく。このとき任意の
に対し,
また,任意の
に対し,
であるから,
は
のイデアルである。また,任意の
に対し,
より,
は
を含む
のイデアルである。したがって,
とは,
をすべて含むような
のイデアルで最小のものであったから,
である。逆に,任意の
に対し,
より,イデアルの定義から
であり
である。したがって,
であり,
が示された。
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