環論演習11

理学部 数理・自然情報科学科 西田憲司

演習問題

問1.

R  は可換環, S  R  の積閉集合とする。 R  S  による商環 S- 1R  のイデアルは全て次の (*)  の様に表されることは証明されている:
{}(*) S -1𝔞 =   a- : a ∈ 𝔞, s ∈ S  (𝔞は R の イfア 茀  ル )s
この 事実を用いて (** )を示せ。
(* *) R が ネ[/ 茀 環 な ら  ば S-1R も ネ[/ 茀  環 で あ る .

問2.

Z [x]  の部分環 R
R = Z [2x,2x2, 2x3,⋅⋅⋅]
とする。即ち,多項式 n f(x) = anx  +  ⋅⋅⋅ + a1x + a0 ∈ Z [x]について,
f(x) ∈ R ⇐ ⇒  a1,⋅⋅⋅ ,anは2の倍数(a0はどの整数でもよい)
R  の部分集合 𝔞
𝔞 = {anxn +  ⋅⋅⋅ + a1x : n ≥ 1, a1,⋅⋅⋅ ,anは 2 の 倍 数 }
とおく。このとき
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解答

問 1.

(証明)

S -1R  の任意のイデアルの無限上昇列を

-1 -1 -1 S  𝔞0 ⊂ S   𝔞1 ⊂ ⋅⋅⋅ ⊂ S  𝔞n ⊂  ⋅⋅⋅
を考える。(上の (* )  からこのような形をしている)このとき,各 i ≤ 0  に対し, 𝔞i ⊂ 𝔞i+1である。なぜなら, 𝔞i  の任意の元 a  に対し, -a -1 1 ∈ S𝔞iであるから, -a -1 1 ∈ S𝔞i+1でもあり, a ∈ 𝔞i+1   である。したがって, R  のイデアルの無限上昇列
𝔞0 ⊂ 𝔞1 ⊂ ⋅⋅⋅ ⊂ 𝔞n ⊂ ⋅⋅⋅
が得られるが, R  がネータ環であることから,ある n ∈ Z が存在して, 𝔞n =  𝔞n+1 = ⋅⋅⋅ となる。したがって,このとき S -1𝔞n = S -1𝔞n+1 = ⋅⋅⋅ であるから, S-1R  はネータ環である。

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問2.

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