環論演習9

理学部 数理・自然情報科学科 西田憲司

演習問題

問1.

R  は domain (整域)とする。 a, b ∈ R  に対し,
c ∈ R  a  b  の最小公倍数となる必要十分条件は (c) = (a) ∩ (b)
を示せ。

問2.

R  は問 1. と同じとする。 R  の元 a  b  の最小公倍数を c  とする。問 1. より (c) = (a) ∩ (b)  であるから, (ab ) ⊂ (a ) ∩ (b) = (c)  である。従って, ab = cd  となる d ∈ R  がある。このとき, d  a  b  の最大公約数であることを示せ。
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解答

問1.

(証明)

c  a  b  の最小公倍数であるとする。このとき, c = xa, c = yb  となるような x, y ∈ R  が存在する。したがって,任意の (c)  の元 rc (r ∈ R )  に対して rc = rxa  ∈ (a)  かつ rc = ryb ∈ (b)  であるから, rc ∈ (a ) ∩ (b)  。よって, (c) ⊂ (a) ∩ (b)  である。また,任意に s ∈ (a) ∩ (b)  をとれば, s = r1a = r2b  となるような, r1,r2 ∈ R  が存在するから, s  a,b  の公倍数である。よって, s  c  で割り切れるので, s = r3c  となる r3 ∈ R  が存在するから, s ∈ (c)  である。よって (c) ⊃ (a) ∩ (b)  であり, (c) = (a) ∩ (b)  である。逆に, (c) = (a) ∩ (b)  であるとする。このとき, c ∈ (a) ∩ (b)  であるから, c  a,b  の公倍数である。したがって, a, b  の公倍数が  ′c がすべて c  で割り切れることを示せばよい。 c′ a,b  の公倍数であるから, c′ = r1a = r2b  となるような, r1,r2 ∈ R  が存在するので, c′ ∈ (a) ∩ (b)  である。今, (a ) ∩ (b) = (c)  であるから, c′ ∈ (c)  なので, c′ = r c      3  となるような r3 ∈ R  が存在するから,  ′c c  で割り切れる。したがって, c  a,b  の最小公倍数である。

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問 2.

(証明)

d ′ a  b  の公約数ならば, d ′|d  であることを示せばよい。 a = r1d′, b = r2d′ (r1,r2 ∈ R )  とおく。このとき,      ′r1r2d a,b  の公倍数であるから,      ′r1r2d は最小公倍数 c  で割り切れる。そこで, r1r2d′ = sc  とおけば, cd = ab = d′ ⋅ r1r2d ′ = d′sc  となる。 R  は整域であるから, d = d′s  となり, d′|d  である。

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