環論演習5

理学部 数理・自然情報科学科 西田憲司

演習問題

問1.

複素数体 C 上の 1 変数多項式環 R = C [x]  を考える。任意の複素数 λ ∈  C に対し x - λ  で生成された Rのイデアル
𝔞λ = (x - λ) = {(x - λ)f (x) : f(x) ∈ C [x ]}
Rの極大イデアル,を示せ。

問2.

可換環 Rとそのイデアル 𝔞  が与えられている。このとき剰余環 R ∕𝔞  のイデアルは 𝔞  を含む R  のイデアル I(⊃ 𝔞)  により, I∕𝔞  の形をしている。
(ただし, I∕𝔞 =  {a : a ∈ I} )
∵ ) X  R ∕𝔞  のイデアルとする。
             --I = {a ∈ R : a ∈ X } とおくと, I  はイデアルの条件を充たすことが確かめられて, R  のイデアルになる。そして,任意の a ∈ 𝔞  に対し, R ∕𝔞  では --  --a = 0 ∈ X  から a ∈ I  。よって, 𝔞 ⊂  I  である。従って,
---- --I∕𝔞 = {a : a ∈ I} = {a :a ∈ X } = X.□
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解答

問1.

(証明)

λ ∈ C を任意に一つとって固定する。このとき, Φλ : C [x] - → C Φλ(f (x)) = f(λ)  (多項式にλ  を代入する写像) によって定めると, Φλ  は環準同型となる。また, Φ λ  は全射である。なぜなら任意の c ∈ C に対して, f(x) ∈ C [x]  を定数多項式 f (x) = c  で定めれば Φ (f(x )) = c λ  である。したがって,準同型定理により C [x]∕Ker Φ  ~=  Cλ であるから, C [x]∕Ker Φ λ  は体であるが, Ker Φλ = (x - λ)  であることを示せば主張は証明される。実際,

f(x) ∈ Ker Φ λ ⇐ ⇒ f(λ ) = 0
spacer ⇐ ⇒  f(x) = (x - λ)g(x)となるような g(x) ∈ C [x]が存在する 。
であるから, Ker Φλ = (x - λ)  である。
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問2.

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