環論演習2

理学部 数理・自然情報科学科 西田憲司

演習問題

問1.

問 2.

f (x) ∈ Q[x]は次数 3 の多項式とする。
命題 「f(x)Q の中に根を持たないならば, f(x)  は既約」
を証明せよ。次に,この命題の逆を書き,証明せよ。
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解答

問1.

(証明)

対偶をとり,「 f(x)が可約 ⇔  f(x + a)  が可約」であることを示す。
f (x)が既約でないとすれば, f(x) = g(x )h (x)となるような, g(x),h(x) ∈ R [x](ただし deg (g(x)),deg(h(x)) ≥ 1)が存在する。このとき, f(x + a) = g(x + a)h(x + a)  であり, g(x + a ), h(x + a )  はいずれも次数 1 以上であるから f (x + a )  は可約である。 逆に,f (x + a )  が可約ならば上の結果から, f(x + a + (- a)) = f(x)  は可約である。

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問2.

(証明)

3次の多項式f(x )  が可約であるとし, f (x) = g(x)h(x)  であるとすれば, g(x ), h(x )  の いずれかの次数は 1 でなくてはならない。それを g(x) = x - a  (a ∈ Q )  とすれば,f (x )  a  を根に持つ。したがって, f(x)  Q の中に根を持たないならば,f (x)  は既約 である。

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逆:「f(x)  が既約ならば f(x)  Q の中に根を持たない」

(証明)

もしf(x )  Q の中に根 a  をもてば f(x)  x - a  で割り切れるから, f (x) = (x - a)g(x)  と表せる。今, f(x)  の次数は 3 であるから, deg g(x) = 2  であり, f(x)  は可約である。

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