二、担保責任に関する特約(p142)
1.民法572条

原則

例外

2. 製造物責任との関係(p143)

(1)参考:アメリカ法では、製造物責任は3通りの法律構成で追及できる。

@契約責任(warranty)

A不法行為責任(過失責任)

B不法行為責任(無過失責任)
(2)瑕疵担保責任の使いにくさ

@直接の【(61)】に限定される

A拡大損害

法定責任説では:【(62)】に限定される。

契約責任説でも:見解が分かれる。

3.保証書の交付(資料5 道垣内弘人『民法入門』p138)

(1)小売店の保証書 

「お買い上げの日から1年間」という条項

(2)メーカーの保証書 資料2参照

@メーカーが製品の品質について一種の【(63)】を負う旨の約束

A【(64)】的債務負担行為か?

B保証書に顧客が署名する場合は?


三、その他の担保責任(権利の瑕疵)


1.全部他人のもの=追奪担保責任(561条、p144-145)

(1)他人のものの売買も【(65)】契約としては有効。

(2)真の所有者から所有権が得られず、売買が不能の場合

@「不能」か否か:【(66)】による。

A責任の性質

B買主の権利

解除

損害賠償

期間制限
(3)悪意の買主はまったく保護されないのか?

@最判昭和41.9.8.判例集29事件
判例集29



「履行不能が、【(67)】の責に帰すべき事由によるものなら、買主は、【(68)】条の規定にかかわらず、なお、【(69)】一般の規定に従って、契約を【(70)】し、【(71)】の請求ができる」←契約責任構成になじむ

*法典調査会速記録29巻157丁「目的物【(72)】の債務を負っている売主が、【(73)】に履行しないような場合に買主を保護しないのは不都合」

A他人物売買の二つの態様(p145-146):

A:売主が所有権を得ることを停止条件とする売買

B:単純な売買

(4)代金支払拒絶権(576条)

全部他人のもの:

一部他人のもの:

用益権:
(5)善意の売主

@解除権:

A買主も善意の場合は【(74)】を免れない。
(6)売主の地位の本人による相続(民法Ip175)

@履行拒絶できるか?

A担保責任は?

2.権利の一部が他人に属する(563条)

(1)解除

(2)損害賠償

(3)代金減額請求権

(4)除斥期間 


3.数量不足・一部滅失(565条)

(1)解除

(2)損害賠償

損害賠償の範囲:最判昭和57.1.21百選II・51事件

高騰した地価を基準とするか、元の価格を基準とするか?
(3)代金減額請求権

(4)除斥期間 百選II 50事件
百選U50



数量不足を知ってから一年以上が経過している。

4.目的物の利用制限(566条)

用益物権または対抗力ある賃借権
(1)解除

(2)損害賠償

(3)除斥期間

5.担保権による制限(567条)

(1)解除

(2)損害賠償

(3)除斥期間

*教科書p149 「滌除」=民法改正(2004.4.1施行)により「抵当権消滅請求」


担保責任まとめ
    買主の善意・悪意 解除 損害賠償 代金減額請求権 除斥期間 代金支払拒絶権(576条)
物の瑕疵 隠れた瑕疵(570条) 善意   知ったときから1年  
権利の瑕疵 悪意 × ×      
全部他人の権利(561条) 善意   なし
悪意 ×   なし
一部他人の権利(563条) 善意 知った時から1年
悪意 × × 契約時から1年
数量不足・一部滅失(565条) 善意 知った時から1年  
悪意 × × ×    
用益権による制限(566条) 善意   知った時から1年
悪意 × ×    
担保権による制限(567条) 善意   なし  
悪意   なし  


四、共通する問題


1.競売の特則(568条)

(1)物の瑕疵

法律上の瑕疵(p133)判例集42事件
(2)債権者に対する返還請求

(3)損害賠償

2.同時履行の抗弁権

3.解除権の期間制限




瑕疵担保責任まとめ


権利の瑕疵に対する担保責任

全部他人のもの

売買契約の目的物が他人の所有するものであっても契約自体は有効である。

・買主は、善意でも悪意でも、契約解除が出来る。

・善意の買主は、解除と併せて、損害賠償が出来る。悪意の場合は出来ない。

★売主自身が他人の所有物であったことについて善意であった場合は、売主側から契約解除できる。

ただし、善意の買主に対しては損害賠償をしなければならない。悪意の買主に対しては、通知のみでよい。

一部他人の物

買主が善意であれば、知った時より、悪意であれば、契約から1年内に、以下の手段をとれる。

・ 買主は、善意悪意に関係なく、権利の不足の割合に応じて、代金の減額請求をすることができる。

・ 善意の買主は、権利移転されるのが、その部分だけとわかっていたら買わなかったであろうという場合には、契約解除できる。

・ 善意の買主は、解除と併せて、損害賠償請求が出来る。

数量不足・一部滅失

目的の数量を指示して契約した(数量指示売買)にもかかわらず、数量不足だったり、目的物が一部滅失していた場合

・ 善意の買主は、不足滅失部分について、代金減額請求ができる

・ 善意の買主は、契約の解除ができる

・ 善意の買主は、損害賠償ができる

・ 悪意の買主は、不足や滅失を知っていて承知の上で契約をした以上、保護する必要はない。

用益権つき売買


売買契約の目的物に用益権がついていて使用収益できない場合がある。この場合、善意の買主は、その事実を知ったときから1年以内に担保責任を追及できる。


用益権つき売買にあたる場合

・ 目的物が、地上権・永小作権・地役権・留置権・質権の目的となっている場合

・ 契約上存在すべき地役権が存在しない場合

・ 登記ある賃借権(対抗力のある賃借権)が設定されている場合

・ 悪意の買主は、不足や滅失を知っていて承知の上で契約をした以上、保護する必要はない。


善意の買主がとりうる手段

・ 契約の目的が達せられない場合に限り、契約解除できる。

・ 目的が達せられるかどうかにかかわりなく、損害賠償できる。

悪意の買主は保護されない。

担保権つき売買

目的物に先取特権・抵当権が設定されていても、それがただちに買主への損害となるわけではない。 これらの権利が実行されて買主が所有権を失った場合または失いそうな場合に、売主の担保責任が生じる。


この場合に買主は、善意・悪意にかかわりなく、次の手段が取れる

・ 担保権実行により買主が所有権を失った場合には、契約解除できる。

・ 買主の善意悪意に問わずに、期限の制限もなく、損害賠償請求が認められる。