人間(経済)開発を促進するためには、グッドガヴァナンス(善き統治)が不可欠だと考えられています。外部の援助も受け入れ国が有効に活用する統治能力がなければ役立ちません。では、グッドガヴァナンス(善き統治)とは、どのようなものなのでしょうか。はじめに、なぜ統治(ガヴァナンス)の問題が重要視されるようになったのか、開発問題においてどのような議論がなされていたか、を整理します。その後、グッドガヴァナンスはどのような概念なのか説明し、それを測定する試みについて解説します。
グッドガヴァナンスは、効率的な行政機構と「民主的な」統治機構に関する概念です。経済開発にとって、効率的な行政機構が重要であることには、異論がありません。しかし、民主政治と経済開発の相関関係は、単純ではありません。民主化が短期的には経済的な混乱をもたらすこともあります。民主政治とグッドガヴァナンスと人間(経済)開発との関係を理解するためには、そもそも「民主主義とは、何か」という問題に立ち戻る必要があります。