I 飢餓・飢饉と貧困: 権原(Entitlement)アプローチ

1 大飢饉の発生原因に関する議論

アマルティア・セン

「20世紀に世界各地で発生した「大飢饉」の原因は、一国レベルの食料供給能力不足にあったのではなく、人々が十分な食料を手に入れ消費する能力や資格(権原 Entitlement)が損なわれた結果であった。」

「大飢饉」
ベンガル大飢饉(インド)1943年 死者(推定)約150万人(政府の飢饉調査委員会)
エチオピア飢饉1972-74年 死者(推定) 4万人から20万人
サヘル地域の旱魃と飢餓1973年(ピーク時 69年ごろから旱魃の悪化)死者(推定)10万人
バングラデシュ飢饉1974年 死者 2万6千人(政府推計)

飢饉についての一般的理解

 「旱魃・洪水等の自然災害が食糧の供給不足を招き飢饉がおこる」

飢饉は食糧の総供給量の減少が原因