租税原則

  • 租税原則とは、租税根拠論を前提として、租税体系を具体的にデザインする場合に従うべき原則である。 それは資本主義経済の歴史的変化に応じて変容してきた。
  • スミスの租税4原則――
    1. (1)「公平」
    2. (2)「明確」
    3. (3)「便宜」
    4. (4)「節約(徴税費最小)」
    ――経済に中立的な比例税(利益に比例)の主張→租税の市場への介入・歪曲を排する。
  • ワグナーの租税9原則――
    1. (1)「課税の十分性」
    2. (2)「課税の弾力性」
    3. (3)「正しい税源の選択」
    4. (4)「正しい税種の選択」
    5. (5)「課税の普遍性」
    6. (6)「課税の公平」
    7. (7)「課税の明確性」
    8. (8)「課税の便宜性」
    9. (9)「最小徴税費」
    ――社会政策としての累進課税の主張――租税の市場への介入・調整をはかる。
  • マスグレイブの租税原則――スミスとワグナーの折衷
    公平については、「水平的公平」(同じ経済条件の者は同じ負担を)と「垂直的公平」(異なる経済条件の者は異なる負担を)を主張。市場ないし資源配分については租税の「中立性」を、租税体系については「簡素」を主張。
  • 公平――これが租税原則のなかで最も重要な原則である。公平概念は歴史的に変化してきた。なにが公平かは価値観であり、経済社会のあり方の変化により変わる。