[2] 批判的態度を身に付ける
この章では、主にレポートを書く際の形式的な面を見てきました。形式面の整っていないレポートや論文は、仮に内容が多少よくても印象は悪いものです。したがって、十分に形式を整えたレポートを作成するように、努力してください。
形式が整って初めて、レポート・論文の内容の是非が問われます。最後に、よいレポート・論文の条件について、例を挙げておきます。
これらのうち、ここでは2)について述べておきます。
というのは、学生の皆さん、特に1年生は、「学者の言うこと・教科書に書いてあることを疑う」という習慣はまだ身についていないことと思います。
しかし、大学における学習で、最も重要なことのひとつがこの批判的に考える習慣をもつということです。そこで、まず次のことをしっかりと認識してください。
授業で聞く講義内容、授業中に読む本・論文や課題図書の論証は、いいものはもちろん素直に感心していてよいのですが、批判すべきところはしっかり批判すべきです。
授業の題材や教員の講義内容は、「天の声」ではありません。講義や論文の内容を批判的に検討することが、よいレポートを書くための近道です。
ただし、ここで言う「批判」とは自分の気にくわないから、とか、偉そうだから、といった感情的な批判(非難)ではあってはなりません。
批判的であるということは、論理的であるということです。つまり、そこで述べられていることが、本当に根拠のあることなのか、しっかりと確かめてみるという考え方です。そして論拠があいまいな主張を、鵜呑みにしてしまわないというのが、正しい批判的態度のありかたです。
最後に、先行研究を批判的に読む際の注目点をあげておきます。