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尊属殺重罰規定違憲判決

自己又は配偶者の直系尊属に対する殺人について、一般の殺人罪よりも重罰を科す刑法200条の規定(1995(平成7)年の法改正により削除された)が、日本国憲法14条に違反するとして提起された事件である。 最高裁判所の多数意見は、尊属に対する尊重報恩という道義を保護する立法目的は合理的であるが、刑の加重の程度が極端であり、立法目的達成手段として合理的ではないので、違憲であると判示した。 これに対し、立法目的自体が違憲であるという6名の裁判官による意見が付されている。田中二郎・小川信雄・坂本吉勝裁判官は、尊属殺人に関する規定を設け差別的取扱いを認めること自体は、14条1項に違反するとし、下村三郎裁判官は、尊属殺人に対する処罰規定を存置し、その刑を加重することが合理的根拠を失うとし、色川幸太郎裁判官は、古い家族制度と結びついたまま道徳を温存しようとする法律は憲法によって否定されなければならないとし、また、大隅健一郎裁判官は、夫婦や直系親族の相互間の殺害行為について、近親殺という特別の罪を設けることは(刑を加重することも)合理的な範囲を超えない限り、立法政策の問題であると主張した。また、下田武三裁判官は、尊属に対する敬愛を重視すべきものとし、刑法200条のような法定刑を規定することも不合理であるとは考えられず、裁判所が立法の先取りをなすような判断を下すことは司法の謙抑の原則に反するとして、反対意見を述べた。 刑法200条は、違憲判決後も長らく改正されず、最高検察庁が尊属殺人であっても普通殺人罪(刑法199条)で起訴するよう通達することによって対応された。結局、1995年に、刑法の条文を文語体から口語体に変更する際に、刑法200条は、他の尊属への犯罪に対する重罰規定とともに削除された。
( この教材は「法の下の平等」の子教材です )

  • 教員: 柳瀬 昇


この教材は2009年03月19日(木)に登録されました。

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